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寛容なるかなアメリカ  Hiroshi Yoshida or 吉田 博(2)

安永幸一市著、「山と水の画家 吉田博」は、
期待を裏切りませんでした。

吉田の生涯がやっとわかりました。

特に、新版画の作成に入る前の、生い立ちと、
数多くの水彩画、油彩画が紹介されているの
がありがたい。
吉田博、水彩 
知りたいことは、一体なぜ欧米で、現在も人
気が高いのかです。

実際、終戦後厚木飛行場に降り立った、マッカー
サーが第一に会いたかった人物が吉田であったと
いいますし、執務机の背後に2枚の吉田の版画が、
飾られている、執務中の生前のダイアナ妃の写真
がこの本に紹介されています。

面白いのは、というよりも驚いたのは、ほとんど
あてもなく、米国に渡り、しかも、模写をするために
おしかけたデトロイト美術館で、偶然も作用して、
館長に会うことができ、結局館長が、彼の作品に
ほれこんで、展覧会を開くことになり、大成功を
おさめることになることです。

館長の作品に対する評価はこうです。

「それらは、情趣と大胆なタッチをもち、同時に詩的な
魅力と色彩を持っていた。略。 ヨーロッパの画家が
持つ、雄大さと深さを持ち、ヨーロッパの巨匠にも
比肩し得る質の高さを持つ」

そのとおりだと思います。

この展覧会以降、アメリカで大成功していくのですが、
それにしても、現代の日本でこんなことがありえるで
しょうか。

おそらく、どの権威ある美術館の館長も、どこの馬の
骨かわからない、はるか遠い異国の無名の画家の作
品を自分の眼で評価して、しかも自分の美術館で、
展覧会を開くことを勧めるなど、到底考えられません。

この点をもってしても、「恐るべき国なるかな、米国」と
思いませんか。


<本日の絵>
F10 ワットマン 昭和記念公園のシーソー
昭和記念公園ブランコ
東京野外スケッチの会の色塗りがようやく終わりました。
スキャニングが悪いせいか、赤、ピンクの発色がもうひ
とつです。

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魅せられています。Hiroshi Yoshida or 吉田 博

昨年秋以来魅せられている画家がいます。
その名は、吉田博。

欧米では、Hiroshi Yoshida。(当たり前です(笑))

なぜ、英語表記か、それについては、後ほど
紹介します。

話を先に進めます。
昨年秋に、江戸博物館で行われた、「よみが
える浮世絵うるわしき大正新版画」展で、は
じめて吉田博の存在を知りました。
どうやら、日本では知る人ぞ知るという存在
のようです。

伊藤深水、川瀬巴水が、新版画の代表作家とす
れば、吉田博の絵からは、まったく違う印象を
受けます。

ひと眼見たときに、ビビッときました。
他の日本作家と何かが違うのです。
あえて言えば、次の理由が挙げられます。

抒情性があるにもかかわらず、べったりし
ていない。
他の作家には、日本特有のべったり感(演歌
といってもよい?)があるのに対して、吉田
には感じられない。どこか知的な冷たさも
あわせもつところがあります。

この点が、彼の作品が、海外で圧倒的に受け
入れられている理由ではないかと思います。

というわけで、何とか、吉田博のことを知り
たいと思い、折に触れて調べていましたが、
断片的なことしか集まりません。

ところが、二週間前、せんだいメディアテーク
内の仙台中央図書館で、新規購入の本を見てい
たところ、なんと「山と水の画家 吉田博」と
いうそのものずばりの本を見つけてしまったの
です。
吉田博

なんという偶然。通常の書店では、見たことが
ありませんでした。さすがに、せんだいメディ
アテーク。
よく購入してくれました。

飛びつくように手にとって、貸出カウンターに
向かいました。
(続く)



<本日の絵>
マイブック 松島湾
松島湾
瑞巌寺石窟のスケッチの日に、昼飯を遊覧船乗り場横で
とったときに、描きました。
本当は、時間をとって、もっと絵になるところで描きたかっ
たのですが、石窟スケッチにもどりたかったので、安直に、
場所を選んでしまいました。


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