線描の言語表現:「松本竣介 線と言葉」(平凡社、2012)より(2)

「なにが聞こえてくるのかは、誰にもわからない-松本竣介のこと」
(堀江敏行)の文章の中で、引用されている松本自身の言葉を以下に
 孫引きします。

あれから十年たつ此頃の僕の絵には針金のやうな黒い線がのさばり
かへってゐる。考へてみると線は僕の気質なのだ。子供の時からだっ
た。それを長い間意識できず、何となく線といふものに魅力を感じな
がら油絵を描いてゐた処に僕の仕事の甘さがあった。今にしてそれら
のことがいろいろ思ひ当たるのだが。
モヂリアニが好きになったのも理由の一つは、量を端的に握んでゐる
天下一品の線の秘密にあった。線は僕のメフィストテレスなのだが、
気が付かずにゐる間僕は何もできなかった。この無意識を意識の上に
引き上げる為に僕はどんなに混乱してゐるかしらない。このメフィス
トテレスが僕から出ていつて変な悪戯をしたのがあのころのことであ
る。(一九三九年十一月、「石田新一追悼誌」)


松本のモヂリアニの影響を受けた初期の油彩から独自の絵への変遷を
みないと、上の言葉は理解しにくいのですが、この記事では引用する
にとどめます。

ただ、作家自身の言葉は学者や評論家の言葉と違って、実感がこもっ
ていると感じます。
(続く)

<本日の絵>」
松本竣介 スケッチ ニコライ堂
MatsumotoShunsuke_Sketch_Nikolai_Cathedral(A)(縮小)
(出典:wikimedia commons)

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