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作品解説(1):<神戸北野・スターバックス>線描の描き方

教室の生徒さんからよく聞かれる質問には共通性があります。
そこで、このブログの場を借りて、これまで自分が描いた作品を、
その質問ごとに解説していきたいと思います。

(1)なぜこの場所を選んだのか?
  スケッチポイント選びは、描く方の関心により様々ですので、
あくまで私個人の理由を書いてみます。もともと明治以降、都市
の景観を造った戦前の近代建築に関心がありました。それは、
建物の持つ美しさだけでなく、その時代に生きていた人々の生活
まで思いをはせ、その時代から私たちが生きている現代までの
時間のつながりを思うとある種の感慨がわくからです。また、この
北野坂のマクドナルドの建物は、私が生きてきたこの数十年の
間でさえ、阪神大震災による被災、マクドナルドによる修復を経
て今があります。今日の東南アジアからの観光客のメッカになっ
た時代の移り変わりの早さにも注目し、人物も含めて描きたいと
おもったのが理由です。

(2)どこから描き始めたのか?
  線描は、現場で下描きをしないで直接描きます。どの線から
描いたか記憶はあやふやですが、一般には一番手前のものか
ら始めるケースが多いと思います。この場合は、左の建物の縦
の線を上から思い切りよく引き、鉢を入れる編み籠の上部で止
めます。次に主役である、スターバックスの看板のついたドーム
型の屋根を持つ小屋を描きました。(人物を描きいれる部分は
空けて)

(3)遠近法を使ってどのように理解して描いたらよいか?
(この場合は、建物の壁の線、立て看板の形、歩道の敷石など)
 現場描きスケッチの場合に、線遠近法をどのように意識して描
いたらよいかについては、別途項を設けて解説する必要がありま
す。ここでは、私がいつも行っている描き方を書きます。
 「線を描き始める前に、自分の目線の水平線と、立ち位置を
含む縦の直線を思い浮かべます。それぞれの線に対する角度と
位置を推定して、描くとなったらまよわず線を引きます。」
 この絵では、人工物、具体的には建物の線、歩道や道路の線、
看板の線、建物の窓枠や壁の板の線がそれにあたります。一方、
樹木のような自然のものは、少々違っても問題はありません。

(4)樹木の葉はどのように描いているのか?
 この絵には、真ん中に大きな樹木があります。葉っぱは一見
細かく描いているように見えます。実際には、素早く描かないと
いくら時間があっても描くことができません。大事なことは、その
樹木の葉の特徴を捉えて描くことです。また、数多く描く場合、単
調を避けるために、樹冠の中の葉の向きや形の特徴を観察しな
がら素早く描いていきます。

(5)人物はどのように描くのか?
 この絵の主要な人物である女性は、写真を利用して描いてい
ます。いつもは、人物はその場で描くことを原則としており、水彩
紙に人物を描く前に、その場を通る人物をスピードスケッチして、
それを水彩紙に写すか、直接水彩紙に描きます。しかし、その
方法では印象深い人物の姿は描けないケースが多く、その絵に
ふさわしい姿をした人物が通りかかったときに写真を撮影してお
き、それを利用します。この絵の女性は、そのが会いにあたりま
す。
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<神戸・北野のスターバックスコーヒー>(線描) F4 

テーマ : art・芸術・美術 - ジャンル : 学問・文化・芸術

TAG : 都市スケッチ 線スケッチ 神戸 近代建築 下描きなし

03/09のツイートまとめ

wataei172

スケッチ教室のご案内 https://t.co/RRZCqyDROK#ペンスケッチ #線スケッチ #永沢まこと #スケッチ教室
03-09 17:15

<スケッチポイント探し>高尾梅郷の遊歩道を昨日歩きました。白梅が中心ですが、里山に現れる梅の群れが飽きさせません。珍しいのは、川の土手の梅並木です。桜並木はよくありますが、梅の並木は始めてです。#スケッチポイント #高尾梅郷 #梅 #高尾 #takao #plum #sketch https://t.co/V66dW2Gtn7
03-09 13:37

03/03のツイートまとめ

wataei172

「素描小感」、「草屋根と絵筆・画家向井潤吉よりのエッセイ」からの引用 https://t.co/BGRshh4SOs
03-03 17:22

東府中「カフェ葡萄」のコーヒーカップ動機:コーヒーカップと照明に興味描きはじめ:カップ上縁、スプーン、お皿。彩色の苦労:インク少なくかすれ気味。陰を薄くできない。スプーン金属表現。#カフェスケッチ #ペン画 #マーカー #pensketch  #copic  #cafesketch https://t.co/mx8ifCiIVS
03-03 16:16

「素描小感」、「草屋根と絵筆・画家向井潤吉よりのエッセイ」からの引用

表題の本の中に素描(線描)に関する記述がありました。
日本画家と洋画家の姿勢の違いについて言及しているので下記に紹介します。

<前略>したがってデッサンする態度と眼に、日本画家と洋画家のしれぶ、微妙な差異のあることが、結果的には大きく分かれて行くことが注目される。それは、花や果物を描く場合よりも、裸体や着衣の人物を前にした時の方が特徴がはっきりする。
 洋画の場合は、まず着衣、裸体のいづれの場合でも、大掴みに対象の姿態なり、輪郭を捉えて徐々に細部を描き進んでいくのが普通だが、在来の日本画家の技法を見てみると、線の美しさ、面白さを追求することから始まるので全体の把握が薄ぼけて弱くなりがちである。そのどちらを選ぶということよりも、なお大切な点は、人物のように大きいものに対したときはかなりの距離が必須であり、そのためには出来れば大きい部屋で作業することが要求される。
<中略>かつて藤田嗣治とよく同席したが、氏は煙草の空き箱や小紙片にたえず鉛筆を走らせて、人々の顔を丹念にスケッチしていた。おそらく手首の訓練をしていたのであろう。適当な紙や鉛筆のない場合は、手をつっこんだズボンの中で、やはり、盛んに指先でデッサンを試みていたのだと想像している。


日本画家、洋画家の違いの指摘も面白いですが、それとは別に、藤田嗣治のような巨匠でも、絶えず指の訓練をしていたという箇所は、教室で「線描を津念い練習することが必要です」と常に生徒さんに言っていることと重なります。「なぜなら、文字を書くのに小学生以来何万回も文字をかいているから意識せずに書けるのであって、スケッチの線描は、文字よりも大きいので、大きく腕や手を動かすことは脳にとって初めてのこと。ですから、脳に慣れさせるためには何回も練習することが必要になります。いわばリハビリと同じと考えてください。」と説明してきたのでよかったのだと確認させてくれました。

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