「奇跡のクラーク・コレクション ルノワールとフランス絵画の傑作展」訪問(3)

(3)線スケッチの立場からは、ドガやロートレックの作品は人物描写を
   考える上で非常に魅力的です。少ないながらも、この展覧会にも
   二人の作品は展示されていました。

   中でも、ドガの競馬場の絵とバレエの踊り子の絵は、その魅力を
   伝えています。
    ・稽古場の踊り子たち(<本日の絵>を参照ください。)
    ・レースの前

(4)印象派中心の絵の中にあって、ジェロームの「奴隷市場」や「蛇使
   い」の絵のある部屋は異色でした。

          356px-Jean-Léon_Gérôme_001 Jean-Léon_Gérôme_-_Le_charmeur_de_serpents
   (左から、奴隷市場、蛇つかい。出典:共にwikimedia commons)

   上の二つの絵は、書物でよく見るものの、作者の名前は知りません
   でした。エキゾチックな主題を細密描写で描いていますが、その超
   絶技巧と合わせて、これはこれで文句なく素晴らしいと思いました。

   さらに、ブグロー、ステヴァンス、ボルディーニの写実的な絵が続き
   ますが、中でもボルディーニの日々の何気ない一瞬を捉えた作品、
   「道を渡る」、「かぎ針編みをする若い女」は、都会スケッチの観点
   から見逃せません。
    
               395px-Giovanni_Boldini_Crossing_the_Street.jpg
   (「道を渡る」。出典:wikimedia commons)
(続く) 

<本日の絵>
エドガー・ドガ 稽古場の踊り子たち(出典:wikimedia commons)
Dancers_in_the_Classroom.jpg
いつみても、人物描写が素晴らしい。

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「奇跡のクラーク・コレクション ルノワールとフランス絵画の傑作展」訪問(2)

今回展示された作家と作品数をまとめまると以下になります。

カミーユ・コロー(5)、ジャン=フランソワ・ミレー(2)、コンスタン・
トロワイヨン(1)、テオドール・ルソー(1)、ヨーハン・バルトルト・
ヨンキント(1)ウジェーヌ・ブータン(1)、クロード・モネ(6)、ギュ
スターブ・カイユボット(1)、アルフレッド・シスレー(4)、カミーユ・
ピサロ(8)、オノレ・ドーミエ(1)、メアリー・カサット(1)、エドゥア
ール・マネ(1)、アンリ・ファンタン・ラトゥール(1)、カロリュス=
デュラン(1)、エドガー・ドガ(4)、ジャン=レオン・ジェローム(3)、
ウィリアム=アドルフ・ブグロー(1)、アルフレッド・ステヴァンス(2)、
ジョヴァンニ・ボルディーニ(2)、ジェームス・ティソ(1)、ピエール=
オーギュストオ・ルノワール(22)、ベルト・モリゾ(1)、アンリ・ド・
トゥールーズ=ロートレック(2)、ピエール・ボナール(1)

確かに、副題通りの内容と構成です。以下、個別の感想です。

(1)最初に展示室に入ったとたん(コロー、ミレー、ルソー、ヨンキント、
   ブータンなど)、思い込みかもしれないのですが、コレクター、クラ
   ーク夫妻の嗜好を感じました。それは、印象派の絵になればなる
   ほど感じます。
   絵では、フェルメールのデルフト風景を思い起こさせるヨンキントの
   「フリゲート艦」と風の動きが巧みなブータンの絵に惹かれました。
   (どちらも、私の線スケッチに取り入れたいと思っていますので。)
 
            Johan_Barthold_Jongkind_-_Frégates,_port_de_Harfleur
                   (出典:wikimedia commons)

(2)印象派以降の画家の絵では、モネの「エトルタの断崖」を見ること
   が出来て満足しました。モネにはいくつかこの場所であったような
   記憶があるのですが、他の印象派の画家が同じ主題で描いたこと
   と混同しているかもしれません。
   それにしても、期待以上に印象派の光を堪能させてくれる絵です。
   (<本日の絵>をご覧ください。
(続く)   

<本日の絵>
クロード・モネ エトルタの断崖(出典:wikimedia commons)
Claude_Monet_The_Cliffs_at_Etretat(2).jpg
このキラキラと光あふれる風景は、実物を見るに限ります。

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「奇跡のクラーク・コレクション ルノワールとフランス絵画の傑作展」訪問(1)

土曜日の東京駅野外スケッチの日、三菱一号館で開催中の、標題の
美術展
に行ってきました。

以前ならば真っ先に行っていた印象派などフランス絵画の展覧会です
が、線スケッチを始めてから、線スケッチに関係がない(と勝手に思っ
て)印象派の絵画展はほとんど行かなくなりました。

今回のクラーク・コレクション展についても、行くつもりはありませんでし
た。
しかし、野外スケッチ開始前の集合時に、N先生の方からスケッチ終了
後、この美術展を見に行くので、希望者は参加しませんかとの提案が
あったのです。

そこで、新丸ビル3階の無料休憩所での講評を終えた後、出かけました。

      CIMG1386.jpg CIMG1387.jpg 

結論は、「これ程、コレクターの嗜好を反映させた展覧会はめずらしい」
であり、大変満足しました。
そして、「何よりも、日本で教科書や書物で目にする(ある意味食傷気味
の)名作ではなく、ほとんどはじめて眼にする作品で、しかもそれは最高
傑作ではないかもしれませんが、どれも傑作」で来てよかったということ
です。
次回より、すこし詳しく感想をのべてみたいと思います。
(続く)

<本日の絵>
エドゥアール・マネ 花瓶のモスローズ(出典:wikimedia commons)
364px-Edouard_Manet_Moss_Roses_in_a_Vase.jpg
今回の展覧会で、おやっと思った一枚。クラーク夫妻の嗜好を考えると、
マネの作品は合わないと思えるのですが、会場にはこれ一点がありま
した。クラーク夫妻の嗜好に合う作品から、この絵に目を移すと見た瞬
間、鋭利な刃物で刺されたような衝撃を感じました。花瓶の輪郭を描く
マネ特有の鋭い線、そして凄みのある花瓶の中の水の表現。これが、
そうさせたのだと思います。どうしても線スケッチの目で見てしまいます。

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東京駅スケッチ(教室の野外スケッチ授業)

以前、今期の教室野外スケッチが東京駅だということで、事前の下見をした記
を書きました。

スケッチ当日(23日、土曜)の朝、10時集合前に、丸の内北口を出て目星の場
所に行って驚きました。宝くじのボックスが梱包されていいたのです。

      東京駅(当日)
        (2月23日 土曜日 午前9時半)

実は、当日は、建物を描くだけでも時間がかかると想定して、描く場所を決め、人
物と手前の風景を描いておこうと、二日前の木曜日に出かけたのです。

結局、宝くじ売り場のボックスと並木の樹木越しに見える丸の内北口を描くことに
決めました。(樹木と、人物だけは描きました。人物のみ鉛筆。)

      東京駅
       (2月21日 木曜日 午後2時ごろ)

幸い、集合のあともどってみるとボックスは組み立てられて通常通り開いており、
ホッと一安心です。

しかし、予想通り、東京駅は手ごわく、3時の再集合までに描けた建物はごくわ
ずかです。

特に困ったのは、建物を当日下から積み上げて正確に描いたつもりでしたが、
事前に描いておいた部分とつじつまが合わなくなってしまったことです。
これだから建物はめんどくさい。

どうするか、今後工夫が必要です。

<本日の絵>
ワットマン F10 東京駅丸の内北口風景(白描、制作途中)
東京駅野外スケッチ
東京駅を見つめていると、壁面や窓の修飾について、いろんなところに気が付きます。

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春を求めて 世田谷区立大蔵運動公園(3)

ふと気がつくと、運動場の入り口前に立派な灯篭があります。
説明をよく読むと、上野寛永寺の徳川家霊廟に奉納された由
緒あるものだそうです。

       大蔵運動公園 大蔵運動公園

まさか、そんなものがこの場所にあるとは予想もしていなかったの
で、少々驚きました。確かに重々しい灯篭ですが、スケッチには適
さない気がします。

むしろ、スケッチというのなら公園入り口の脇にある広場の蒸気機
関車でしょう。母子の遊ぶ姿をいれるとよいスケッチになると思いま
した。

      大蔵運動公園 大蔵運動公園

             大蔵運動公園

<本日の絵>
マイブック クリニック受付風景
クリニック受付風景
昨年来の腰痛リハビリのため近所の医院に通院の際、待合室
から受付を描いてみました。

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春を求めて 世田谷区立大蔵運動公園(2)

そこには、子供たち(大人も?)の健康増進のための遊ぶ施設が設
置された広場があり(下の写真)、左手が崖になっていて、林越しに
遠く丹沢山系まで見渡せます。

大蔵運動公園大蔵運動公園大蔵運動公園

もちろん、東京ならではの富士山も(下の写真。右はズーム)。北斎
の富嶽三十六景にならって、絵にもできそうにくっきりと輪郭が見えま
すが、実際の眼にはかなり小さくしか見えていません。北斎の浮世絵
は、大きさがかなり誇張されていると思います。

        大蔵運動公園 大蔵運動公園

もと来た道を戻り、今度は運動場横の脇を行きます。

            大蔵運動公園

運動場の縁に立ち並ぶ、崖線上の木々のシルエットが美しい。

大蔵運動公園大蔵運動公園大蔵運動公園
(続く)

<本日の絵>
マイブック 京王線電車人物スケッチ
京王線人物スケッチ118
少し雰囲気のあるおじいさんが前に座りました。
(もしかしたら自分と同じほどの年齢か? 自分はいつまでも
若い気持ちでいても、他人からは私もおじいさんのはずなのに)
口ひげのあたりを描く時が気持ちよかったことを覚えています。
ステッキを持つ手を描くのは始めてかもしれません。

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春を求めて 世田谷区立大蔵運動公園(1)

いつもは、都立砧公園を散歩することが多いのですが、隣接する世田谷区立
大蔵運動公園
も散策に適した場所です。

仙台にいたころ、厚生年金施設の統廃合が行われた際に、大蔵運動公園の
隣にあった厚生年金スポーツ施設が、世田谷区に買収され、第二大蔵運動
公園となり、規模も大きくなりました。

     大蔵運動公園 砧公園

ここでは、スケッチポイントを意識しながら散策した時の様子を紹介します。

運動公園と名が付いている通り、運動施設が中心ですが、バラ園や桜など木
も多く、気持ちの良い場所です。下の写真では、左に体育館中、右は、温水プ
ール施設です。このあたり、スケッチポイントがありそうです。

  大蔵運動公園 大蔵運動公園 大蔵運動公園

西に向かうと梅林(まだ花はほとんどありませんでした)とテニスコートがあり、
皿に進むと、国分寺崖線に出ます。

             大蔵運動公園
(続く)

<本日の絵>
マイブック 路線バス人物スケッチ(京王バス)
路線バススケッチ(京王バス)
小田急線「千歳船橋駅」から京王線「千歳烏山駅」をむすぶ
路線バスの人物スケッチです。60台とおぼしき男性二人の
背後から描きました。

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「高橋秀の世界 版画1959-2010」展

スタイケンの写真展を見た後、世田谷美術館の2階で標題の展覧会
が同時に開催されていたので見てみました。

高橋秀氏は、現在倉敷市在住で、83歳の版画家です。長年イタリア
に住み、活躍した方のようです。

昭和26年より昭和38年まで世田谷に住んだよしみでか、昨年118
点の版画作品を寄贈したことを記念する展覧会でした。

この方の作品を見るのは、初めてですが、どこかユーモラスで、鮮や
かな色彩感覚に好感をもちました。鮮やかな色彩はヨーロッパに住ん
だためでしょうか。

それでも、どこかに京和菓子のような色合いを見せています。(下の写
真、右)

     スタイケン スタイケン

最近では、和紙に墨、琳派の絵のような金地を用いた作品があり、やはり
最後には日本人の感性に戻ってくるのかという感慨をもちました。

     t高橋秀 高橋秀 

<本日の絵>
マイブック 南青山ドトールコーヒー人物スケッチ
南青山ドトールコーヒースケッチ6
またもやドトールコーヒー人物スケッチですが、そろそろ会食の
時間が近づいたので、これで最後のスケッチです。
サンドウィッチを頬張ろうとする姿を描きました。

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「エドワード・スタイケン写真展 モダン・エイジの光と影1923-1937」訪問記(2)

この日は平日、そして午前中。静かに鑑賞できたかといいますと
実は、そうではありません。午前中は小学生のための特別観賞
時間だったのです。

そのため、小学生3-4年生(?)と先生で一杯で、熱心に先生が
小学生に説明している声が響き、ついそちらに気を取られてしま
います。

しかし、この戦前の、私ですら生きていない時代の人物群の写真
を先生は説明に四苦八苦していますが、小学生達の素朴な感想
がなんとも微笑ましい。彼らのなんとも自由であっけらかんとした
感想を聞きながらの展覧会鑑賞も意外に面白いものでした。

実際、写真のモデルや女優、有名人などは、ほとんど戦前の人達
ですし、当時でも日本ではなじみがない人が大半です。

戦後生まれの私達の世代は、現代の小学生達とは違い、アメリカ
というのはエンターテイメントやファッションにおいては、はるかに先
を行く国だったように思います。

何しろ、私の記憶では、テレビが白黒だった時代、アメリカのドラマ
が全盛で「ルート66」「ローハイド」「ララミー牧場」などNHK、民放を
問わず四六時中放映されていました。(ヒチコック劇場、アンディー・
ウィリアムス・ショーなどもあり)

また、戦前の映画も、特にNHKは、ヨーロッパ、アメリカの映画をしょ
っちゅう流していましたから、戦前の俳優も結構顔なじみなのです。

今回の作品でも、グロリア・スワンソン、グレタガルボ、ロレッタ・ヤン
グ、マレーネ・ディートリッヒなどの女優、
ゲーりー・クーパー、モーリス・シュバリエ、ダグラス・フェアバンクス・
Jr.チャーリー・チャプリンなどの男優、
アル・ジョルスン、フレッド・アステア姉弟、ウラディミール・ホロビッツ、
レオポルド・ストコフスキー、セシル・B・デミル、ジョージ・ガーシュイン、
ウィリアム・バトラー・イェイツ、ウィンストン・チャーチル、ユージン・オニ
ール、シンクレア・ルイスなどの著名人は私にも馴染みがある人たちで
す。

ヴォーグ誌やヴァニティー・フェア誌の実物が展示されており、なぜか、
かつて、叔父が購読していた、今はなき「LIFE」誌を思い出しました。

当時、中学生から高校生の頃、「LIFE」や「READERS DIGEST」誌を
読んで、まだ見ぬアメリカを憧れの気持ちで思いやっていたのです。

<本日の絵>
マイブック 南青山ドトールコーヒー人物スケッチ
南青山ドトールコーヒースケッチ5
私の左横のカウンターに男女が座りました。どうやら会社の
同僚同志のようです。女性がさかんに話しかけています。

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「エドワード・スタイケン写真展 モダン・エイジの光と影1923-1937」訪問記(1)

世田谷美術館で開催されている標題の写真展に行ってきました。

     大蔵運動公園 大蔵運動公園

この写真展は、全世界で巡回されているようですが、英語の題名
は、"Edward Steichen in High Fashion The Conde Nast Years"
で、こちらの方がより実体に近いかもしれません。

スタイケンの広範に亘る写真活動の中で、特にファッション雑誌、
「ヴォーグ」や、「ヴァニティ・フェア」誌における作品を中心に置い
ているからです。

感想は、一言で「素晴らしい」につきます。コマーシャル・フォトなの
ですが、この時代、ほとんど現代に通じるファッション・フォトのスタ
イルを生み出したこと、そして写真の画質も良い状態で見ることがで
きるのがうれしい。

      高橋秀 高橋秀
(続く)

<本日の絵>
マイブック 南青山ドトールコーヒー人物スケッチ
南青山ドトールコーヒースケッチ4
ドトールコーヒーの人物スケッチ続きます。今度は、真ん前に
カップルが座りました。女性がこちらを向いていますが、男性
に気を取られているのでおそらくスケッチされているとは気が
つかなかったでしょう。

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