「受け継がれる東洋の至宝」展 PartI 「東洋絵画の精華」(2)

平治物語絵巻を見るだけで、目的は達せられたのです
が、実は、今回の展示品37点の内、実に22点が、重要
文化財、重要美術品で、国宝1点もある充実ぶりです。

以下、気にいった作品を紹介します。

仏画、垂迹画は、いずれも、はるか昔に作成されたとは
思えないほど、鮮やかな色彩に魅了されました。

国立博物館の、あの暗さと違い、この美術館では、照明
が明るいせいだったかもしれません。
(暗いと、どうしても抹香臭くなり、せっかくの絵画として
の魅力が半減してしまうのです。)

「弁才天像」「如意輪観音像」「不動明王二童子像」は、
中でも印象に残る作品でした。

さらに、大きな収穫だったのは、「四条河原遊楽図屏風」
を間近に見ることができたことです。

これまた、他の美術館と違って、ガラス越しではあります
が、10cmぐらいの近距離でつぶさに鑑賞できたのです。

絵巻物同様、この洛中洛外図系統の屏風絵では、当然の
ごとく、人物の様々な姿態と、華やかな色彩を楽しむことが
できます。近くから観察できたおかげで、漫画のごとく時間
を忘れることができるです。

最後に、とっておきの作品、酒井抱一の「絵手鑑」で記事の
最後とします。

この作品は、72枚の比較的小ぶりの絵からなる画集ですが、
作品の質はもちろん、その保存のよさには目を見張ります。
(下図は、作品の1枚。)
実物の展示部分は少ない枚数ですが、他の作品はデジタルで
見ることができました。どの作品も完成度が高く、一つ一つ
見入ってしまいます。

         静嘉堂文庫美術館

線スケッチだけでなく、絵画を志す者なら一度は見ても損は
ない画集と思います。

<本日の絵>
マイブック 西武新宿線 人物スケッチ
人物スケッチ(西武新宿線)430
前回の<本日の絵>と同様、西部新宿線の人物スケッチです。
中国語の本を持つ指から書き始めました。

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「受け継がれる東洋の至宝」展 PartI 「東洋絵画の精華」(1)

ここしばらく、身内の入院騒ぎで、記事を書くこと
ができませんでした。しばらくその状態が続きます。
時間をみて、記事を書いていきます。

さて、世田谷区岡本シリーズの中で書きましたよ
うに、静嘉堂文庫美術館で開催されていた、標題の
美術展に行くことが本当の目的でした。

さらに言えば、展示中の「平治物語絵巻 信西巻」
を見に行くためです。

     平治物語絵巻信西巻

すでに、記事にしましたように、ボストン美術館、
日本美術の至宝展でみた「平治物語絵巻 三条殿
夜討巻」の凄さに驚き、他の巻を見たいと思った
からです。

ボストン美術館 日本美術の至宝展と呼応するか
のように、六波羅行幸巻は国立東京博物館で、
そして信西巻が、同時に展示されていたのですが、
国立博物館の六波羅行幸巻は見逃したので、あわ
てて、信西巻を見に行ったわけです。

残念ながら、全巻の展示ではなく、最後の部分だけ
でしたが、国立博物館でのボストン美術館の絵巻の
ときと同じ感動を受けました。
(続く)

<本日の絵>
マイブック 西武新宿線 人物
人物スケッチ(西武新宿線)
初めて乗った西武新宿線での人物スケッチ
です。最近のスケッチ方法ですが、まず指、
そして腕から書き始めました。

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世田谷区岡本(3) 静嘉堂文庫と緑地

入口から、まっすぐ進むと右上に向かう登り坂が
出てきます。ひたすらその道を登りきると、静嘉堂
文庫のレンガの建物と、車寄せのある美術館の入
口が見えます。

このスタイルは、台東区池之端にある三菱財閥の
旧岩崎鄭
への道を思い起こさせます。

事実、静嘉堂文庫は、同じ三菱財閥の岩崎弥之助、
小弥太により建てられたものですから、同じような
雰囲気になったのでしょう。

        静嘉堂文庫

この土地は、下の写真にあるように、国分寺崖線
張り出した部分にあり、緑地を形成しています。

        静嘉堂文庫緑地図 

南に向かって少し進むと、ジョサイアコンドルが設計
した岩崎家玉川廟に出ます。さらに林の中を進むと、
古びた大きな灯篭があり、これまた明治の匂いがし
ます。

    静嘉堂文庫公園内 静嘉堂文庫緑地灯篭

(続く)

<本日の絵>
マイブック 岩崎文庫をスケッチする人々
静嘉堂文庫をスケッチする人432
美術館を出てみると、傍らでスケッチをする人々がいたので、
背後から私もスケッチしてみました。

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世田谷区岡本(2) 静嘉堂文庫美術館入口

砧公園を過ぎ、国分寺崖線上の岡本の邸宅街を抜けて、
聖ドミニコ学園側の山と国分寺崖線側との間の道に降
りると、岡本静嘉堂緑地の看板に出ます。

平日のため、人通りが少ないためもありますが、都会の
喧騒とは程遠い環境です。

静嘉堂文庫前広場 静嘉堂文庫前広場2 静嘉堂文庫前広場3

自転車を進めると、美術展の看板のある目立たない入口に
たどり着きました。

                静嘉堂文庫美術館入口

(続く)

<本日の絵>
ワットマン SM エンドウ豆の花
エンドウ豆の花427
エンドウ豆の花の命は短く、すでに豆のさやが大きく
なり始めていました。
以前から、エンドウ豆の花が可愛らしいと思っていま
したが、本格的に描くチャンスを逃がしていました。
今回、花をシリーズで描くにあたり、エンドウ豆の花を
ようやく描くことができました。

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世田谷区岡本(1) 静嘉堂文庫美術館へ

テレビのニュースで、事件現場を言い表す常套句
に、「閑静な住宅街」というのがあります。

東京都世田谷区で事件が起こると、必ずといって、
(たとえそこが住宅街でなくても)上記常套句が
使われるので、確かに、オフィス街も大きな商業
地域もない住宅街であることをあらためて気付か
されます。

現在の世田谷区の人口を調べると、
総数 843,847人(平成24年5月)
とありますので、3月まで暮らしていた仙台の人口
、1,055,770人(平成24年5月)

よりは、少ないものの、世田谷区のみで80万人強
の人が住んでいるとは認識していませんでした。

さて、標題の世田谷区岡本ですが、田園調布、成
城学園など全国区ではありませんが、高級住宅街
で知られています。

前置きはここまでにして、今回、砧公園を経て、
世田谷区、岡本にある静嘉堂文庫美術館を訪れま
した。

お目当ては、開催中の「東洋絵画の精華」に展示
されている「平治物語 信西巻」を見るためです。

途中、砧公園の入り口に、お母さん方の電動自転
車が何十台と並んでいる光景に驚き、思わず写真
を撮りました。

       砧公園自転車置き場 

まるで、「ダースベーダー」のような不気味な印象。

平日ならではの光景で、同じ場所でも、日が違えば、
異なる表情を見せることが分かります。
(続く)

<本日の絵>
宿根草の花(フラワーランド)428
前回から紹介している花シリーズですが、時間を節約するために
花を大きく描いています。輪郭(白描)だけだと、少し間が抜けて
いるようです。苦手な色塗りをそろそろしなければ。

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花の季節 フラワーガーデンにて

2週間ほど前、砧公園に出かけた時に、足を延ばして世田谷区の
フラワーランドを訪れました。

        フラワーランド

ここは、付近の農家の方が中心となって運営されているようです
が、特に宿根草の花はこれからが見頃になります。

フラワーランド2 フラワーランド3

今回より、<本日の絵>ではじめた植物・花スケッチをするための
場所として今後も訪れたいと思います。


<本日の絵>
ワットマン SM 花ミズキ(東京国立博物館)
花ミズキ(国立博物館)426
これまで、「マイブック」の人物スケッチを中心に紹介してきましたが、
花の季節になったこともあり、植物、花をスケッチしていくことを考え
ました。
第一弾として、ボストン美術館・日本美術の至宝に出かけた時に咲い
ていた花ミズキをとりあげることにしました。

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東京国立博物館140周年 特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」(4)

最後に曽我蕭白です。
3)「奇才 曽我蕭白」
 ・近年、その個性的な絵で人気の曽我蕭白ですが、今回
  の作品群も個性的な作品揃いです。
  
  ただ特異な描写の人物には、好き嫌いがあるような気が
  します。
  (個人的には、まだなじんでいません。劇画風だからで
  しょうか。先入観が邪魔をしているようです)

  今回は、線の性質に注目してみました。すると、作品ごと
  にまったく線の性質が異なるようです。

  あるときは、一気呵成に、あるときは、足し継ぎ足し継ぎ引
  く線、柔らかい線を惹いたかと思うと硬質な線もある・・・。
  (下の絵は、目玉の一つ、「雲竜図」を示します)

            ボストン美術館展3

  といった具合で、極めて自由自在、一人の画家で、これほど
  異なる線の作品を見たのは初めてです。

<本日の絵>
マルマン クロッキー帳 自分の手
自(手)像425
教室練習作品の最後です。

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東京国立博物館140周年 特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」(3)

絵巻以外の絵画も見逃せないものが数多くありましたが、
ここでは、まとめて書くことにします。

1)「中世水墨画と初期狩野派」
  →狩野元信の筆力に強い印象を受け、これまで知らなか
   った狩野雅樂助の絵に魅せられました。
2)「華ひらく近世絵画」
  →展示作品の作者の豪華さに驚きます。例えば、
   狩野永徳、長谷川等伯、狩野山雪、狩野探幽、土佐光起
   尾形光琳、伊藤若冲です。
   これだけのそろい踏みは、そうそうない上に、今回の目玉
   の一つである「松島図屏風」は、噂にたがわない作品です。

   ただ、線スケッチを描く立場で眺めると、聞きなれない作者
   の絵に今回は惹かれました。

   ・長谷川左近筆「牧牛・野馬図屏風」
     →中国宋時代の水墨画風なのに、桜が描かれて、不思
      議な感じ。馬の姿態は見事。
   ・曽我二直庵筆「鷲鳥図屏風」
     →勢いのある岩と波頭、鷲のすさまじい描写力。
   ・狩野山雪筆「十雪図屏風」
     →通常の水墨画に比べて、建物の中の人物が数多く描
      かれているのが興味深い。はるかかなたに、お城に向
      かう米粒のように描かれた軍団が印象的、効果的。


<本日の絵>
マルマン クロッキー帳 自分の手
自(手)像424
教室の4番目の練習作品。手首だけでなく、肘近くまで描いてみ見ました。

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東京国立博物館140周年 特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」(2)

今回の展覧会のわたしの一番の目標は、絵巻物です。

展示作品の目玉の一つに、「吉備大臣入唐絵巻」と「平
治物語 三条殿夜討」があります。

ともに、国外に流出した逸品として有名ですが、なかなか
見る機会がない作品で、線スケッチの立場から、この機
会を見逃すわけにはいきません。

まず、今回展示の絵巻を示します。(平治物語絵巻)
(以下すべて出典は、wikimedia commons)

平時の乱絵巻3 平時の乱絵巻2

平時の乱絵巻5 平時の乱絵巻4

平治の乱絵巻7 平時の乱絵巻6

平時の乱絵巻8

以上の写真では直接伝わってきませんが、この絵巻の
保存状態には驚きました。
それは、今描いたといわれても信じてしまうほどの色鮮
やかさです。

しかも、絵そのものは、現代の劇画か山口晃の絵かと
思わせるほど、古色を感じさせない線描画です。

甲冑を身にまとった武士の軍勢と軍馬の群れの描写の
美しさ、ダイナミックな姿態と場面の臨場感は、作者が只
者ではないことを示しています。

人物の顔は後ろ、斜め、正面からと描き分けられ、馬や
牛車の牛も含めて躍動感に満ちています。

日本の絵は「ひきめ・かぎばな」と思いこんでいたら、とん
でもない、人物の目は、きちんと黒眼が描かれ、それが
様々な向きに。
驚く目、いぶかる目、笑う目、見つめる目、さらには、お茶
目な目など、さまざまな表情を見せているのには驚きます。

さらに、身体についても、手足、指先は、丁寧に描かれてい
て、どのような姿勢も重心が不自然なく描かれています。

そして、以前から不思議におもっていたこと。

絵巻物は、大抵空の上から斜めからの俯瞰図ですが、ど
のように、人物を写生したのでしょうか?空想で描いたとし
ては、あまりにも迫真的です。

以上、もし、現代の劇画や絵画と並べれば、圧倒的にこの
絵に軍配があがるのではないでしょうか。


<本日の絵>
マルマン クロッキー帳 鉛筆 自(手)像
自(手)像423
演習作品の3です。特に説明は不要です。

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東京国立博物館140周年 特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」(1)

線スケッチをはじめてから、西洋美術、現代アート一辺倒だった姿勢
から、日本美術の魅力に気がつき、線スケッチの視点から、日本美術、
特に絵画の展覧会訪問をここ数年続けています。

現在、開催中の、東京国立博物館140周年 特別展「ボストン美術館
日本美術の至宝」は、普段見られない作品が見ることができるというこ
とで、1月の故宮博物院の展覧会に続き、東京国立博物館に足を運び
ました。

    ボストン美術館展 ボストン美術館展2

展覧会の主な構成は、

1)仏のかたち、神のすがた
2)海を渡った二大絵巻
3)静寂と輝き-中世水墨画と初期狩野派
4)アメリカ人を魅了した日本のわざ-刀剣と染織
5)華ひらく近世絵画
6)鬼才 曽我蕭白

となっています。

観終わったあとの全体の感想は、これほどの名品が、海外にあるという
のは、という若干嘆きがまじった複雑な気持ちです。
(今回の展示作品は、いずれも取りこぼしのない、国宝、重文級の作品
ばかりです。)

驚きは、1)「仏のかたち、神のすがた」の素晴らしさです。残念ながら、
照明の暗さで詳細が見えないのですが、特に仏画は、ほとんど国宝級で、
これほど質の高いものがそろった例はないのではないかと感じました。

暗くて見れなかった作品を、カタログで確認したところ、さらにその水準の
高さが把握できました。

     ボストン美術館展2 ボストン美術館展
(続く)

<本日の絵>
マルマン クロッキー帳 鉛筆 自(手)像
自(手)像422
練習作品の第2弾です。
出来るだけ、普段とらない指の形を描きました。

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