「北斎とリヴィエール 三十六景の競演」展(4)

3)次に、気がついたのは色の違いです。

  これまで、富嶽三十六景については、赤富士に代表される
  赤のように、色とりどりの色を使っていると思い込んでいまし
  たが、今回あらためて、全作品をつぶさに見ると、それがと
  んだ思い違いであったことに気がつきました。

  全作品に言えるのは、色とりどりどころか、濃い緑色、紺色
  に染まっています。赤(赤富士をみてください)は、赤では
  なくむしろ茶色です。

  まさにプルシアン・ブルー祭りといっても良いほど、青にこだ
  わっていることがわかります。

  800px-Great_Wave_off_Kanagawa2.jpg 北斎、赤富士 
  (出典:wikimedelia commons 左右ともに)

  それに対して、広重は、こだわっていません。

  色とりどりで、全体の印象は、実にしゃれています。北斎と異
  なり、しっかり赤、緑、青を使い、濃淡も駆使して、洗練された
  美を感じます。ちょっと見には、北斎に比べて迫力がないよう
  に見えますが、見ているうちにじわりと魅せられる感じです。

  広重3 広重
 (出典:wikimedelia commons 左右ともに)

  さて、リヴィエールはといえば、残念ながらエッフェル塔三十
  六景のリトグラフは三色刷りです。
  
  彼は、どのような色使いをするのだろうと興味がわいたところで、
  ありました!多色リトグラフ2点が展示されているではありませ
  んか。
  「にわか雨」(写真の上部)と「虹」(写真の下部)です。

           リヴィエール2

  フランス人らしいしゃれた色使いです。淡い青緑が目に優しく、
  茶色とのバランスが良い感じです。

<本日の七夕飾り和模様>
       七夕和模様7
金の輪郭に紫の色の梅の花(?)は、あまり見たこと
がありませんが、地の青に対してそうせざるをえなか
ったのでしょうか。

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「北斎とリヴィエール 三十六景の競演」展(3)

今回は、北斎の富岳三十六景とリヴィエールのエッ
フェル塔三十六景だけの展示かと思ったら、広重の
浮世絵も6-7枚展示されていました。

そのために、彼らの作品を、相互に比較ができ、いく
つか気がついたことがあります。

1)まず、「線」です。

  説明によると、リヴィエールは最初木版画を試みた
  そうですが、すぐにやめてしまい、リトグラフに変え
  たそうです。

  線の力で言うと、個人的には、リヴィエールの線は、
  北斎、広重に比べて物足りなさを感じます。
  (以前、紹介したマネやレンブラントの版画の線は
  実に厳しいので、西洋人だから線描が不得意だと
  いうことにはならないと思います)

  もっとも浮世絵の場合、彫師の彫りを通した線を我々
  はみているのですが、彫り師の力により、画家の線
  をそのまま表現できています。
  
  リヴィエールの場合、木版画をやめたのは、自身で
  彫る限界を感じたのかもしれません。

Henri_Rivière_ouvrier_plombier_travaillant_sur_la_tour_Eiffel 北斎富岳三十六景 広重2
(出典:いずれもwikimedia commons、左からリヴィエール、
 北斎、広重。いずれも、展示されていた作品の写真です)
(続く)

<本日の七夕飾り和模様>
       七夕和模様6
紺地に白の花と、白い部分を含む空色、オレンジ
の花の色の取り合わせが美しく感じます。


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「北斎とリヴィエール 三十六景の競演」展(2)

例のごとく、線スケッチの視点で感想を以下にまとめます。

1)北斎の富嶽三十六景の場合、絵の中の富士山は確実に
  富士山とわかるように描かれているのに対して、リヴィエ
  ールのエッフェル塔三十六景では、極端に小さくて、ほと
  んど見えないものがあります。

  エッフェル塔が見えるのはパリ市内ですから、その結果
  すべて都会スケッチということになります。ここが富嶽三
  十六景との大きな違いです。
  
  リヴィエールの絵は、私が今夢中になっている都会スケッ
  チと重なります。

  これまでは、リヴィエールの絵はすべてエッフェル塔が大
  きく描かれていると思い込んでいましたが、今回の美術展
  では、ほとんど分からない程度にエッフェル塔が描かれて
  いる絵があることがわかりました。

  私にとっては、かえってその方が魅力的に思えます。
  (それを意識して、ポストカードを買ってみました。
  下の写真のうち、左の絵を除く3枚)

       リヴィエール

2)エッフェル塔の工事中の絵が面白い。中でも、高所で間近
  に働く人を写真にとり、そっくり石版画に写し取っています。

  写真とスケッチとの間の関係は、大きな問題です。現場描
  きを旨とする私たちの立場では、写真は基本的には使わな
  い。
  
  しかし、他のひとではなく、自分が切り取った写真は、ある
  意味では、その人の脳の感受性を映しているはずなので、
  それを使ってもいいではないかという理屈も成り立つはず
  です。
  
  この問題は別の機会に論じてみたいと思います。

  ともあれ、リヴィエールの場合は成功しているように思いま
  すが、それでも現場描きの絵も見たい気がします。

  余談ですが、写真では、眼下のパリの市街が映っています
  が、リヴィエールは、眼下のパリ市街は写していません。
  エッフェル塔の鉄骨と労働者の姿態のみを描いています。私
  たちなら市街も詳細に書き込んでしまいたくなるのですが、
  なぜそうしなかったのでしょう?

  謎です。
(続く)

<本日の七夕飾り和模様>
         七夕和模様5
大きな緑の葉っぱと金色の草の花の地模様に扇面を
散らしているのですが、扇をよく見ると、開ききっていな
い扇があります。今までもあったのか。気づきませんで
した。

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「北斎とリヴィエール 三十六景の競演」展(1)

金曜日の朝、仙台から東京、千代田区紀尾井町のニュー
オータニ美術館に直行しました。

開館20周年記念展 第3弾ということで、「北斎とリヴィ
エール 三十六景の競演
」を開催していることを、美術
展訪問を記事にしている人気ブログ
で知ったからです。

リヴィエールについては、N先生から、教室の話の中で、
その名前を知った
のが最初の出会いです。

その後、気をつけてみると、意外にも彼の作品は日本の
中で展示されるケースが多く、これまでも何度もブログ
で彼の作品に触れてきました。

けれど、「エッフェル塔三十六景」の全作品を見る機会は
なかなかありません。今回、そのチャンスが訪れたのです。

北斎・リビエール 北斎とリビエール2 北斎とリビエール3

それでは、いざ会場へ
(続く)

<本日の七夕飾り和模様>
      七夕和模様4
絞り模様が、一瞬これが紙であることを忘れさせ
ます。紺地の中に、紫と赤が効果的です。

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日比谷公園スケッチ(彩色) 新宿教室講評会

土曜日は、新宿教室の講評会でした。
2週間前の野外スケッチの作品を持っていった
のですが、事実上は、TOKYO三十六景展の候
補作品についての講評会になりました。
(作品を、本日の絵に掲げます)

従って、私の場合も、有楽町ガード下の作品を
たまたま持っていたので、それを中心に講評して
もらいました。

N先生からは、以下のコメントあり。
 (本番の全紙での対応を矢印の後に示しました)

 ・空の葉っぱが邪魔なので、取り去ってとること。
  (これは、以前言われました)
  →取り去りました。

 ・手前の大仏の頭のようなものはいらない。
  (全紙には、でも描いてしまいました:困った。)
  →色の調子を落としすぐらいしか手はないかも

 ・電車を描くかどうか。
  →京浜東北線の電車が走る姿を入れました。

 ・空の部分に電線が入ると感じが出る。
  →高架電線は描き込みました。すべて描くと煩
   雑になるので、バランスが難しい。

ということで、次回の教室までに、一番不得意な色
塗りに全力を注ぎます。

<本日の絵>
ワットマン F6 日比谷公園旧管理事務所
日比谷公園旧公園事務所(彩色)
紙が強度の弱いワットマンということを忘れて、マスキング剤を
通常の量を使ってしまいました。いざゴム状物質を取り去ろうと
すると紙ごとはがれてしまいました。泣きました。

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中部国際空港 名古屋訪問(2)

名古屋駅近くのホテルに泊った翌日は、朝
から快晴。

当日、中部国際空港セントレアで仕事です。
仕事が終了したので、どこかスケッチポイン
トはないかという気持ちで、空港内を探検し
ました。

出発ロビー正面にあるエスカレーターをのぼ
ると、レストランと土産物屋さんが建ち並ぶ
フロアーに出ます。

      中部国際空港

当初は名古屋の人も物珍しさで、休日は押し
寄せたようですが、最近は旅行客のみで、観
光スポットとしては落ち着いているようです。

期待の「スカイデッキ」は、屋根全体がデッキ
となっているので、広々として、360度見渡せ
ます。

さっそく、色とりどりの飛行機がならんだ姿が
目に入ってきました。スケッチ心がでましたが、
ここはがまんと全体をみることにしました。

     中部国際空港2 

中部国際空港4 中部国際空港7

ぐるっとめぐると、多くの人々が離発着する飛行
機を眺める姿と、カラフルな飛行機そのものを描
くイメージが出てきました。

が、いかんせん、屋根も何もないなか、太陽光
が燦々と降り注いでいます。とても立ち続ける気
力はこの日はありませんでした。

というわけで、名古屋訪問では、スケッチは何一
つできませんでしたが、中部国際空港から乗った、
名古屋鉄道の車窓からは、常滑市、知多市にか
けて重厚な古い民家が数多く見えました。

街道沿いの姿は、おそらく古民家スケッチャーに
魅力的な地域ではないかと思ったことを最後に付
け加えて名古屋訪問記事を終えます。

<本日の七夕飾り和模様>
         七夕和模様3
ひし形模様の中にこれでもかと、種々の和模様を
押しこんでいます。
紺色と緑色の地が面積をとっていて、その中に朱(赤)
が混ざっている配色が個人的には和を感じますが、
本当にこの組み合わせが和を感じさせるのかどうか
検証が必要に思います。

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変貌名古屋駅 名古屋訪問(1)

先週の木曜日、名古屋に出張でした。4-5年前に名古
屋に行ったはずなのに、前回はトンボ帰りだったせい
か、まったく記憶がありません。

今回は、名古屋駅の近辺に宿をとったので、よく観察
することにしました。


新幹線から降りて、駅のコンコースを、地下鉄乗り場の
方に進むと、エスカレータが何台も2階に向かい、両側
に高島屋の店舗が続きます。

      名古屋駅構内

ホテルに向かう道すがら、大名古屋ビルヂングの裏側
に、一見すると古い建物が並んでいるのに気がつきまし
た。

大半は、居酒屋などの飲食業ですが、本当に古いのか、
それとも、古いよう見せた新建築なのか分かりにくい。

けれど、屋根周りを見ると、昔名古屋に住んでいたころ
を思い出させる雰囲気があり、本当に古い建物もありそ
うです。

いくつか、もし機会があればスケッチの対象にしたい
ポイントも含めて、以下にご紹介します。

名古屋駅前 名古屋駅前2 名古屋駅前3

  名古屋駅前6 名古屋駅前10
(続く)

<本日の絵>
ワットマン F6 マイアミ海岸
マイアミ海岸
前回の記事でご紹介した絵の完成品です。ペリカン
は、記憶で彩色しています。(本物はかなり違うで
しょう)



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マスキング新製品をためす

雲に悩んでいます。昨年の今頃になって、ようやく空の雲
の重要性にめざめたのですが、いかんせん、マスキングの
技術が足りない。

言い訳として、マスキング剤をつけるナイロン筆が悪い。す
ぐにごわごわになり、こまかい雲の表情をとても描くことが
できないのです。

8月、新宿の世界堂でかわったマスキング剤をみつけました。
ペンタイプのマスキング剤です。
(下の写真の左。右は従来品。)

           CIMG6992.jpg

さっそく、3年以上放置してあった、海外スケッチの空で試し
てみました。

途中経過を下に示します。

    マイアミ

まだ慣れていませんが、ナイロン筆のごわごわに比べて、
自由に細かい線を描けることは事実です。
ただし、もう少し練習が必要です。

<本日の七夕飾り和模様>
         七夕和模様2
赤を主体とする、扇面模様。小さい扇二つと大きい扇二つを
シンメトリーにあわせて一つの円模様にするのは、ランダム
な配置を尊ぶ和の模様から外れているような気がします。

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日比谷公園スケッチその後

ブログのアップの間隔があいてしまいました。
名古屋出張と締め切りのある仕事、さらには
母親の入院という事態が起こり、さすがに記
事を書けませんでした。

本日より再開します。

まず、先週の日比谷公園のスケッチのその後を
報告します。
野外スケッチの当日、午後4時、新宿のカフェで
待ち合わせです。

背景の樹木の葉っぱは描きかけでしたが、一応
生徒の皆さんに途中経過を報告しました。

バギーを押す、若い奥さんの、どうもミニスカー
ト姿(特に足)がなまめかしすぎるとの指摘あり。

確かに、言われればそうです。否定はできませ
ん。無意識にミニスカートに眼がくらんだのかもし
れません。

一応、手前の細長い葉っぱには勢いがあるとN先
生からのコメントをいただきました。
(しかし、いつも色を塗ると平凡な印象になってし
まうので、要注意です)

その後、樹木の葉っぱを描き、白描画を完成させ
ました。
(本日の絵を参照)

<本日の絵>
ワットマン F6 日比谷公園旧管理事務所
日比谷公園旧公園事務所

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日比谷公会堂カフェ 日比谷公園スケッチ(3)

日比谷公園の霞ヶ関側にある古い建物。公園側からは、
大きなプラタナスにはばまれて、良く見えません。

日比谷公会堂です。

          日比谷公会堂プラタナス

ですから、いつもそばに寄るのを敬遠していたのですが、
この日は、プラタナスの太い幹に惹かれて、近寄ってみ
ました。

すると、黒地に緑の葉っぱ、ピンク色の花模様に「日比谷
公会堂事務所」と書かれたレトロな表示の下に、入口が見
えました。
横を見ると、これまた昭和初期を思わせる看板「日比谷公
会堂アーカイブ・カフェ」が目に入ります。

入場料無料も目に入りましたから、即中に入ったのはもち
ろんです。

      日比谷公会堂 日比谷公会堂2

明治の建築ほどは内部は華麗ではありませんが、年輪を経た
雰囲気の良さが満たされています。

とはいえ、スケッチをする気持ちは起こらず、食事の直後でも
あったので、食べる気にならず、そうそうに退出しました。

入口にあった強化ガラスの床、これは創建当時のものなのでし
ょうか?
いや。強化ガラスではないのかもしれない。ひどく壊れている
ガラスもありました。
  日比谷公会堂3 日比谷公会堂4

         日比谷公会堂5

結局、公園を一周してみましたが、選んだスケッチポイントは、
最初に直感的によいと思った旧公園事務所にしました。

<本日の七夕飾り和模様>
           七夕和模様
菊(?)の花の色は、好き勝手にいろいろの色を塗っているよう
です。
結局スケッチも本当の色ではなく、好きな色を塗ればよいので
すね。

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