市内に変化の兆し 震災後の仙台生活(7)

本日も、職場総出で整理作業に追われました。

今週は、このように過ごしながら、色んな方から話も聞い
ています。

1)行きつけの床屋の店員さんから:
   ・いつもは7人体制だけど3人しかこれない。
    これない人は、海岸線住まいで、家が流された人、
    通えない人。
   ・常連さんの話で、親戚の人が津波でなくなった。
    などなど、身近なお客さんから毎日大変な話を聞
    いている。
2)仕事でお世話になったA社の女性(メールでお見舞い
  を何度もくれた)から:
   ・住まいから1km近くまで津波が押し寄せた。
    その恐怖と、破壊された爪痕のすさまじさ
    はなんとも言えない。
3)職場の中国人の女性から:
   ・電気、ガス、水道がまったくないまま、数日間
    子供をかかえ、避難所暮らしをした。
4)タクシーの運転手さんから:
   ・市街を走っていると、何事も起こらなかったよう。
    けれど、先日海岸にそって走るバイパスを走って、
    本当に衝撃を受けた。道路の内陸側は、まったく
    以前と変わりがないのに、海側はまったくの瓦礫
    のやま。
    とてもこの世のものとは思われない。テレビで見る
    光景から受ける感じとは全く違う。言葉に表せない。

話を聞くだけで、気持ちが沈むばかりですが、一方、街の
中に変化が現れました。

まず、壊れた個所の修復です。

片平建物5 片平フェンス修復 仙台駅修復

上の写真は、片平地区の放送大学の周りの道路沿いに
あった、倒壊したそれなりに味のある昭和初期の塀の
修復開始のアナウンスです。(左の二つ)

近くのビルの修復も開始しました。(右)

個人的に嬉しかったは、仙台駅コンコースの開場です。
在来線が一部動き出したのにあわせたと思われます。
天井が一新されているのを見ると、天井がすべて落下
したのですね

仙台駅修復2 仙台駅修復3

新幹線改札口に通ずる2階は、今だ閉鎖です。
ま新しい天井のライトが目にまぶしい。
(続く)


<本日の絵>
本日の絵は休みます。
   

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震度6の被災実感 震災後の仙台生活(6)

家屋とともに、いっさいを津波にさらわれてしまった海岸地域の
人達に比べれば、家が傾いたぐらい、身体一つ助かったからいい
じゃないかという意見があるかもしれません。

しかしはたしてそうでしょうか、ここに、あるお店の入り口に貼ら
れた張り紙があります。

      仙台被災家屋 仙台被災家屋

「地震で内部全壊です」という言葉に悲痛な嘆きが聞こえてくる
ようです。安心して住める状態ではないのでしょう。

テレビで、浦安で、家そのものは大丈夫なのに、わずかに傾いただ
けで人は暮らせない(脳が受け付けないとのこと)というニュース
を見て、構造設計と機能(人間に役立つ)のデリケートさにあらた
めて気付かされました。

少し話がずれますが、都市スケッチならずとも、人工物を画家の手
によりデフォルメされて描くと美が生まれます。(ビルや電柱を斜
めに描くなど)
逆に、建築家の設計図、パースは正確で見事ですが、面白み、感動
を与えないという事実があります。
ところが、今回、現実世界でそのゆがみが生じると、めまいを生じ
ました。とても興味深いことですが、ここでは深入りすることはせ
ず、別の機会に書くことにいたします。

さて、私といえば、28日から今週いっぱい、職場の人間総動員で、
内部の点検と損害把握、整理作業を行っています。

当初は、変わりない建物の外観から楽観していました。

しかしそれはとんでもない間違いでした。部屋に入ると、とても動
きそうもない重量物も、ものの見事に動き、倒れ、暴れまわり、部
屋の中は惨憺たるありさまです。

これが、震度6のなのかという実感です。
よくぞ、中にいた職場の仲間に危害が及ばなかったと言わざるを得
ません。
(続く)


<本日の絵>
本日の絵は休みます。

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10mで数センチの傾きの世界 震災後の仙台生活(5)

何か気になる。気になります。
・・・・。

街を歩いていると奇妙な感覚に襲われるようにな
りました。
歩いていると、古いビルや建物のわずかな傾斜に、
めまいにも似た感覚がわいてくるのです。
(おそらく、傾斜は、垂直10mに対して数センチ
の傾きというぐらい、ごくわずかだと思います)

地震酔いはおさまりましたが、かわりにこのめまい
です。

仙台被災路地ビル 仙台被災ビル9 仙台被災ビル10 仙台被災ビル11

仙台被災ビル6 仙台被災ビル12 仙台被災ビル13

      仙台被災電柱 仙台被災電柱2

大げさに言えば、現実とは違う、何かCGによる映画の世界に
入り込んだ気持ちといえるでしょうか。

確かに、見渡しても倒壊したビルはありません。でも、上の写
真で、ビルや建物の垂直線、さらには電柱が微妙に傾いている
のがお分かりになるでしょうか?

この傾いた建物と、まったくびくともしなかった最新のビルの垂
直線が混在しているのです。これが非現実感を誘っている気が
します。

さらにいうと、この2年間、都市スケッチの眼で観察してまぶた
に焼き付いた像の記憶と、震災で微妙に傾いた像が二重写しに
なり、その差に私の脳が困惑しているかのようです。

おそらく、街を歩く仙台の人は、このような気持ちになることは
ないでしょう。私ほど敏感にはなっていないはずです。

人々は、地震を目撃しその過程を彼らの脳は、時間経過ととも
に納得していったのに対し、私自身は、2週間という時間を隔て
て、見知らぬ世界に降り立ったので、私の脳は困惑しているので
しょう。

これは、よくSF映画で、時空を超えて未来に移動して、つい先ほ
どまで自分が住んでいたニューヨークの廃墟に降り立ち呆然とし
ているという場面に近い感覚です。
(たいてい、自由の女神かエンパイヤーステートビルが瓦礫の中
に横たわっている構図ですが)

街の様子をもっと深く調べなければと思いました。
(続く)


<本日の絵>
本日の絵は休みます。

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ダイエー様、ありがとう。 震災後の仙台生活(4)

高速バスから眺めた市街は、いつもと変わらないと言
いましたが、自宅近くのビルではいくつか被災の跡が
見えました。

外壁がくずれたもの、ひびが入ったもの、・・・

地震仙台市街 地震仙台市街2 地震仙台市街4 地震仙台市街5

共通して言えるのは、概ね昭和40年代に立てられたビル
のようです。

そして、わが自宅の徒歩数分以内にある4つのコンビニは、
セブンイレブンを除いてすべて閉店。
下図のサンクスはビルが被災しており、ガラスも壊れたよ
うです。
      地震仙台市街3

このような状況を横目にみながら、通いなれたダイエーに
急ぎます。東京で、仙台市内のダイエーが、頑張っている
テレビの映像を見たからです。

行ってみると、まさに長い行列がありました。とりあえず、
最後尾に並びます。

生活用品と食料品売り場のある地下一階と二階へいく人数
を制限しているようです。(売り場は一階とあわせて、そ
れしか開店していません)

東京で、買占めの状況を間に当たりにしてきたばかりなの
で、もう閉店近く、品物がなくなるのではにかと気が気で
ありません。

けれど、焦り気味の自分と違って周りの人はいたって冷静。
東京と大分様子が違います。
係員も大きな声を出すわけでなく、人々は自然体で並んで
います。

意外に早く入場する番がきました。
とにかく、食品売り場へ。売り場では皆さん、あわてるこ
ともなく、粛々と買い物をしています。

よくみると、張り紙が。「商品は十分あります」と。

確かに、中は、商品がうず高く積まれています。十分あるよ
うです。食料品だけでなく、東京では見かけたこともない、
飲料水や、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、ガス
ボンベまで豊富にあります。

ありがたやーと、必要な量だけ買いました。
(さすがにガスボンベは一人一組でしたが、その他は制限が
ないものが多いのです。物資補給に心配がないと、買占め
するという行動は起こさないのですね。)

後で聞くと、他のスーパーではこのような状況ではなく、ダイ
エーが例外のようです。

どうやら、神戸の震災を教訓にして、常日頃このような場面
を想定していて、いち早く物資支援体制を整えることができた
ようです。

素晴らしいー!!。お見事ー!たのもしいー! と、仙台の
人々の辛抱強さ、落ち着きに加え、ダイエーの対応に感激
です。

いつもは、センス悪いなーと内心思っていたダイエーですが、
この日ばかりは、救世主。輝いて見えました。賛辞の嵐と、感
謝、感謝をささげます。
(続く)


<本日の絵>
本日の絵は休みます。

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仙台到着そして・・・仙台駅。 震災後の仙台生活(3)

バスは、高速道路を降りて、仙台市街に入りました。
とてつもない長さの給油待ちの車の列が、時折街道
沿いに現れることを除けば、建物が倒壊しているわけ
でもなく、いつもの姿の街並みです。

結局、予定の30分遅れで仙台駅に到着しました。

到着した東口から西口への通路を歩くと、様子が変で
す。
通路の左右のお店がほとんど閉まっています。それで
も、公共性の高いJRの緑の窓口はというと、これも完全
にしまっています。

そして、西口近く張り紙が。「危険」立ち入り禁止の文字
が目に入りました。
いつもの土産物コーナーは完全にシャッターが閉めら
れています。
いったい何事がおこたのでしょうか。西口にでて見上げ
ると、すっぽりと覆いがかけられています。

地震仙台駅 地震仙台駅2 地震仙台駅3

これはただ事ではありません。駅は壊滅的な打撃を受
けたようです。
あとでゆっくり調査することにして、我が賃貸マンション
に急ぎました。

そして扉をあけると・・・・。

         地震震災

ご覧の通り、めちゃくちゃです。
テレビは倒れ、冷蔵庫の上の電気オーブントースターは、
ころげおち、これまで作成したスケッチは無残に散乱して
います。

復帰のための掃除もそこそこに、ダイエーに急ぎました。
飢え死にしかねないからです。
(続く)


<本日の絵>
本日の絵は休みます。

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東北自動車道にて仙台へ。 震災後の仙台生活(2)

さらに進み那須塩原パーキングで停車です。
ここでも、羽生パーキング同様、支援の車で一杯です。
給油所も長蛇の車の列でした。

PA給油 PA看護隊2 PA看護隊3

那須塩原パーキングを出ると、これまでと様相が一変
します。
道路の路肩に、赤白の三角錐の標識が多数見られるよ
うになります。コンクリートの防音壁を支える支柱が曲が
ったり、防音壁自身がなくなっているのです。

さらに、道路の応急補修跡もめだつようになりました。
ドスンドスンと、なめるように仕上げられた、日本の
高速道路では考えられないような振動がときおりありま
す。

けれど、ベルリンの壁解放以前に訪れた東ドイツのアウト
バーンで、ベルリンからドレスデンに向かった時に比べれ
ば、天国のようなものです。
(当時、おんぼろバスに乗っていったのですが、第2次大
戦後、ほとんど補修されない穴ぼこだらけの道路状況で、
おまけにバスの床に穴があいていて、走っていると道路
の穴ボコが床の下を走りすぎるのが見えるのです。胆を
冷やしたことを覚えています)

そして、福島県に入ってから、瓦屋根が破損して、屋根に
ブルーシートをかぶせた家屋が目立つようになりました。

        高速バスブルーシート 

被災した家屋は、ある場所では数多く、ある場所では少な
いというよに、ムラがあります。おそらく、地盤の差なので
しょう。

そして、ついに知りたい情報が得られました。東北新幹線
の被災状況です。
これまで東北新幹線の被災状況に関するテレビ報道はほ
とんどありません。

        高速バス新幹線

写真に見られるように、新幹線の高架にある架線をささえる
支柱があちこちで倒れています。高速道路から垣間見える場
所でさえこうですから、全体ではどの程度被災しているか分
かりません。
バスはいよいよ、仙台に近づきます。
(続く)


<本日の絵>
本日の絵は休みます。

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東北自動車道にて仙台へ。 震災後の仙台生活(1)

日々震災被害が、新聞、テレビなど大手メディアで
報道されています。
けれど報道されていない日常の暮らしをお伝えする
こともインターネットならではの役割になるのでは
と思います。

このたび仙台に帰るにあたって、気がついたことを
書いてみます。

さて、19日の日に手に入れたJRバス東北の新宿午前
9時発のバス便に乗るため、新宿駅南口に小田急線で
向かいました

南口改札口から外に出るといきなり、目の前に東国原
前宮崎県知事が。
都知事選が始まったのです。
テレビそっくり(あたりまえ)。思ったより小柄です。

こちらの気が震災で変化してるせいか、いつもの親し
げな態度も、空疎に思えるのはやはり社会の雰囲気の
せいでしょうか。

用意された仙台行臨時高速バスは、三台。満席です。

新宿・都知事選挙 3号車車内風景

定刻通り出発しました。ところが、いつもなら首都高
速に入るはずですが、なぜか王子北まで、地上を時
間をかけて走ります。
そして、高速道路にはいりました。すでに、一昨日か
ら普通乗用車も走ることができるようになり、車上か
ら眺める限り、いつもの高速道路の風景です。

けれど、羽生パーキングエリアに停まった時によくみ
ると、様子がかなり違います。
特殊車両がうようよしていました。

写真が多くうっとうしいかもしれませんが、以下、紹介
します。

1)重機を運ぶトラック、京成の緊急支援バス 
PA重機車 PA臨時高速バス 
2)このあたりの地域の災害本部?、多数の消防車、救急車、
PA災害本部2 PA消防 PA消防車
3)自衛隊
PA自衛隊 PA自衛隊2 PA自衛隊3
4)支援物資を運ぶ一般乗用車
PA支援者 PA救援物資2 PA救援物資
あきらかに、普段と違います。特に、大型観光バスが
まったく見当たりません。
(続く)


<本日の絵>
新宿御苑寒緋桜
新宿御苑の大寒ザクラの花。寒桜を描いたのは初めてです。
周りが寒いので、華やかな感じはしませんが、別の味わい
があります。来年も来てみたいと思います。

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花スケッチで癒される

毎日余震が続きます。
揺れがないのに、椅子やソファーに座ると、
めまいがします。おまけに心臓までドキドキ
します。(完全に、地震酔いにかかったよう
です)

仙台の職場の方も、日常業務が開始されたと
の報告を受けました。

こちらも、ぼんやりしているわけにはいきませ
ん。
本日は、先週の月曜日に訪問予定で、計画
停電のためキャンセルした八王子の会社にで
かけることにしました。

とはいえ、計画停電はまだ続いています。都
内23区の大半は、停電を免れていますが、な
んと八王子では、日に2回も停電があるとの
こと、ずいぶん不公平なことになっています。
(足立区と荒川区も他の区と違い停電が続き、
区長が怒っているのをテレビでみましたが)

八王子には、小田急線で町田まで行き、横浜
線で八王子に向かうのが私の場合、本来の行
き方ですが、疑い深くなっているので、新宿に
出て、確実に運行されている中央線で行くこと
にしたのです。

中央線の運行が着実に実施されていることを
確認しました。
それでも、切符売り場や駅の様子は、いつもと
違います。
         JR新宿南口

少し、時間の余裕ができたので、新宿御苑によ
ることにしました。
この時期、期待はしていませんでしたが、見事
なハクモクレン、早咲きの寒桜、緋寒桜、大寒
桜など早咲きの桜を見ることができました。

新宿御苑モクレン 新宿御苑寒桜 新宿御苑寒緋桜

素早くマイブックスケッチして、心をいやすことが
できました。


<本日の絵>
新宿御苑モクレン
ハクモクレンの花をぐっと近づいて描いてみました。
花が白なので、線だけではものたりなくなり、空間を
黒で埋めてみました。当初は、ペンの漆黒で埋めよう
と思いましたが、墨色もいいかもと思い直し、鉛筆で
塗りつぶしました。初めての試みです。

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榊田かおる展ー線と水彩で描く抒情スケッチー

金曜日に、杉並区役所で開催されていたKAORUさん
の個展
に行ってきました。もともと、3月12日の教室に
行く前に行く予定でした。

それが、11日の地震ですべてが変わりました。
都内の計画停電の為、平日の方がむしろ出掛けにくく
なり、簡単に行けそうな中央線の阿佐ヶ谷駅がとても
遠く感じられました。

到着すると、節電のため、個展が行われている通路の
電気は一部消されて暗かったのですが、出展されてい
る絵が大きいものが多かったため、落ち着いてみること
が出来ました。

普段、教室で一枚一枚個別に拝見していた時の印象と
違い、これまでの歴史と特徴がよくわかって、個展のよ
さが出ていたように思います。

特に印象的だったのは、日本画の良さをそのまま線スケ
ッチの水彩画に移して表現されていることです。


<本日の絵>
マルマンスケッチ紙 府中のケヤキ並木
府中ケヤキ並木
私用で府中に行ったときに、車の中から府中のケヤキ並木
を描きました。自宅にはいつも使用するワットマンの水彩
紙はなく、以前練習に使用したマルマンのスケッチ紙の裏
を使いました。

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地震と名所江戸百景(3)

大地震後の安政の世相と事件とを結びつけながら、名所江戸百景
の著名な版画の背後に潜む社会史的意味を解き明かしていく内容
は、読書の至福な時間を味わせてくれるものですが、ここでは詳し
い紹介は省くことにいたします。
(本の内容に比べとても省略されていますが、著者記述の公開デー
タベースがあります。→ここをご覧ください

ご興味の湧いた方は、原著にあたっていただくとして、私自身この著
書から得た貴重な手掛かりを書いて、記事の終わりにしたいと思いま
す。

一つは、N先生が私たちの都会スケッチの作品への講評会で、たび
たびコメントされる「時代を表す眼があるかどうか」についてです。
すなわち時代性が感じられるかどうか、特に人物、人の気配に関する
コメントです。これは、ある意味ではジャーナリストの視点に他なりま
せん。

広重の名所江戸百景をこの本の視点で改めて眺めると、N先生の言
葉がかぶさってきます。それに、背後に潜ませた事件性までいれると、
名所江戸百景は、なんと現代を先取りした絵であったことか。

飛躍しますが、今年度最終回を迎える東京三十六景展の作品制作を
考える上で大いに刺激を受けます。

二つ目は、西洋美術に影響を与えた近景に大きな図柄を配した構図
の由来です。純粋に美術の視点でも素晴らしい試みなのに、社会科
学的視点を著書は新たに持ち込んだのです。自分自身、日本の伝統
と思い込んで比較的安易に近景に大きな図柄を描くことが多いのです
が、少なくとも広重は安易にその構図を生みだしてはいなかったこと
を思うと恥ずかしさを覚えます。

三つ目は、ここ一月ほど、私の頭を悩ましていた問題、「なぜ江戸初
期まで、青い空が描かれなかったのか」、すなわちブルーの顔料の謎
です。
この本により、ヘンリースミスによる「浮世絵における『ブルー革命』」
という論考があることを教えてもらいました。

実は、出光美術館の琳派の展覧会の感想の続きを書くために、この問
題の解決の手掛かりを得ることが出来ず、記事を書き終えていません。
そうこうしているうちに地震がおきてしまったというわけです。

時期を改めてこの問題について書いてみたいと思います。


<本日の絵>
     254x178mm DALER ROWNEY 馬事公苑クリスマスローズ
     馬事公苑クリスマスローズ
昨日の記事でご紹介したマイブックスケッチのあと、本格的にクリスマス
ローズをスケッチしました。新しい水彩紙でしたが、非常に書き心地がよ
い紙で気に入りました。しばらく花シリーズで気持ちを落ち着けようと思い
ます。

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