至福の250枚! 江戸東京博物館特別展「よみがえる浮世絵」

前回の記事に続きます。

ブリックスクエアで食事の後、江戸東京博物館に向かい
ました。
特別企画展、「よみがえる浮世絵」展を見るためです。

昨秋以来、東京仙台間を行き来するために、幾度となく
通う東京駅、確か半年ほど前、東京駅地下、丸の内線
へ向かう改札口の、特急券自動販売機の横に、巨大な
横顔が出現したのです。

瞼を閉じ、引き締めた唇の上の、うっすらと紅に染まった
右の頬に、一羽の蝙蝠の影がはりつく。
今までみた浮世絵とはどこか違う、しかしその圧倒的な
オーラに足をとめました。

山村耕花、蝙蝠安

それが、「よみがえる浮世絵」展の予告広告だったのですが、
副題「うるわしき大正新版画展」をみて、その理由がわかり
ました。

このころ、ちょうど仙台の図書館で「川瀬巴水」の本を借りて
大正、昭和の新版画に目を奪われていた時期ですから、
まさに絶妙なタイミングです。

これは行くべし!となったのはいうまでもあいません。それ
からは、東京駅で乗り降りするたびに、恋い焦がれる気持ち
がつのるのでした。

巨大な顔が、山村耕花描く、「四世尾上松介蝙蝠安」である
ことは、このあと、展覧会の会場ではじめて知ることになります。

この展覧会ほど強い印象を受けた経験は、それこそ数える
ほどしかありません。

しかも、これだけの至宝の数々にもかかわらず、あの日本特
有の雑踏のような人ごみがない。欧州の美術館のようです。
ゆったりと250点を鑑賞し終わりました。

次回より、この展覧会について感じたこと、学んだことを詳しく
書いてみましょう。


本日の絵
東昌寺 

以前紹介した、東昌寺の天然記念物の老木です。
色塗りをようやく終えました。

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丸の内ブリックスクエアから両国浮世絵展へ

一月半ほど前にスケッチしたブリックスクエアへ、
行ってきました。

お目当ては、三菱一号館内の角を占有する、レストラン
兼バー(夜?)です。

以前、館内の資料館を見た帰り、廊下の入り口から、
店内をのぞいたところ、文様が彫られた、にぶく光る重厚な
4本の木柱が高々と吹き抜けの天井を支えているのを、
垣間見たのです。そのとき次回は必ず入るぞと思いました。

ブリックスクエア店内

ご覧のように、手前にメッキで金色に光る、格子があり、
その奥の、昔は大勢の職員が事務を取っていたであろう
場所に、優雅な食卓、椅子が並び、大正時代のいでたちの
給仕する男女の店員が行きかっています。

この金メッキの格子と背後の景色はどこかで、見覚え
ありませんか?

そう、ローリング・トウェンティー時代のアメリカの銀行
そのものではありませんが。しかもNYやシカゴの大都
会の。
金メッキの格子は、ギャングが店員を脅すときに出てくる、
カウンターです。

まぶたに昔白黒で見たアル・カポネのニュース映画や、
ケビン・コスナーの「アンタッチャブル」のシーンが浮か
びました。(こう書いてしまうと、これまで隠していた
こちらの年が分かってしまう!?)

この広くレトロな空間がいつもと違う雰囲気で身体を
包み込み、食事まで味が違う気がします。

どっぷりとレトロにひたり気持よくなったところで、次の
お目当て、江戸博物館で開催中の浮世展を目指しました。

これが実によかったのです。
(次回の記事にします。乞うご期待。)



本日の絵
本日はお休みします。

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驚きの「デッサ入門」(3)

「デッサン入門」には、対談とは別に、平山郁夫および前田常作それぞれ
各自が綴ったエッセイがあります。

なかでも、平山郁夫の「対象とのつきぬ対話」と題するエッセイの中で、
こんな文章に行き当たりました。

少し、長くなりますが引用します。

つまりデッサンとは、造形を支える骨格なのだ。骨格の上に味や雰囲気
が加えられ、完成作となるわけで、骨格がしっかりしていなければ、しょせ
んごまかしの作品になってしまう。


さらに、平山は「対象との真剣な対話が一本一本の線を生んでゆく」とし、
心ひかれた対象を可能な限り丁寧に観察して」線を引き始めれば、
へたはへたなりに、うまいはずの人がどうしても描けないような、完全な
小宇宙を創ることだってある


と、私たち未熟者が喜びそうなことを書いています。

一番いけないのは、へたなデッサンを、うまく見せようとして、ごまかす
ことである。ごまかせば、ごまかすほど想いは消え、無残な形骸だけが
残ってしまう。その上にどんな美しい色を施したところで、デッサンのごま
かしをおおいかくすことはできないのだ


に至っては、常日頃、師匠のN先生が口をすっぱくして諭していること
ではありませんか。

最後に、平山が、尾形光琳の紅白梅屏風図を例に、琳派に対して、予想
もしなかった見方を展開していることを紹介して終えることにします。

尾形光琳 梅図
出典:wikimedia commons

デッサンは基本的に線で構成されている、色面、あるいは色量で処理
されていると一般には受け取られがちの琳派の場合でさえ、それらは
線の集積なのである


と、予想外の記述が飛び出しました。

琳派の画家がよく用いた「たらしこみ」について考えてみると、これは色を
塗ってできるものではない。(途中略)塗っている面積はあっても、それは
線の拡大の要素が強いのである。(途中略)面を探りながら引いていった
線の束と考えるのが妥当と思う


これまで、琳派の絵を、装飾文様、イラストとどこが違うのか、それにしても、
俵屋宗達や光琳から受ける質感と感動はいったいどこからくるのか、
どう考えてよいかわからなかったのですが、なるほどこんな見方があるのか
と納得しました。

これからは、このような視点でみなければいけませんね。


本日の絵
本日はお休みします。

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驚きの「デッサン入門」(2)

前回の記事では、平山郁夫、前田常作による素描の
線描に対する評語がすばらしいと書きました。

再度取り上げると、以下のようになります。

「燃える線」、「空間に広がる線」、「壁に引かれた線」、
「西と東の鉄線描」、「詩的な琴線」、「ヴィジョンの線」、
「無線の線」、空気まで描いた線」、「線のドラマ」、
「祈りの線」、「匂いの線」

特に、平山郁夫は、自身が線によるスケッチを制作の
原点にしているせいか、線描に関する関心が強く、
表現が的確のように思います。

上で紹介したものに加えて、以下の平山による評語が
続きます。

「決断の線」、「庶民生活を活写する描線」、「無心な線」
「線の束」、「自由な線」、「繊細な筆線」、「天与の線、
「禁欲的な描線」、「手順をつくした線」、「忍耐の線」、
「野生の線」、「大地に根付く線」など。

よくもまあ、いろいろな言い方があるものだと思いますが、
いずれも、古今東西の有名な素描に対しての表現です。

ちなみにレオナルド・ダ・ヴィンチの自画像に対しては、
「線そのものの魅惑」。
レオナルド自画像
(出展:wikimedia commons)

長谷川等伯の松林図屏風に対しては、
「空間に拡がる線」。
長谷川等伯
(出展:wikimedia commons)

この長谷川等伯の絵は、以前実物を見ましたが、
墨一色で、広大な空間が広がり、すごみさえ
感じました。


本日の絵
本日はお休みします。

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驚きの「デッサン入門」

これまで、河鍋暁斎や「筆蝕」の話題を通じて、
「線描」の魅力の源について訪ねてきました。

数日前、ふらっと入った、仙台一番町の書店
「あゆみブックス」で手に取った、「デッサン入門」
に目が釘付けになりました。

話が脇道にそれますが、「あゆみブックス」は仙台
に2店、首都圏に10店舗あるチェーン書店である
ことが今調べてわかりました。

てっきり、仙台の老舗書店と思っていました。
24時まで開いていることもさりながら、美術関係の
本のディスプレイがよいのです。どこがどうといえ
ないのですが、心地がよい空間につつまれる感じ
です。ついつい入ってしまいます。

この「デッサン入門」は、新潮社のとんぼの本シリ
ーズの一つで、平山郁夫、前田常作が対談形式
で世界の素描を話題に語っています。

デッサン入門


普段から、線描に関する本を意識して調べているの
ですが、出るは出るは、線に関する評語のオンパ
レードです。
いわく「燃える線」、「空間に広がる線」、「壁に引か
れた線」、「西と東の鉄線描」、「詩的な琴線」、「ヴィ
ジョンの線」、「無線の線」、空気まで描いた線」、
「線のドラマ」、「祈りの線」、「匂いの線」などなど。

最初の30ページ足らずに、世界の古今の素描に
対して名づけらた線の評語です。

これほどの線描にまつわる記述は、N先生の著作
以外あまりみたことがありません。

書かれている評文も、N先生のホームページ
巻頭の、「今月のひとこと」シリーズにおける線描
の記述を思い浮かべると、とても示唆に富む内容
です。

当初、タイトルから、デッサンの技法の本だと思い
込んだので、予想外の内容に小躍りしました。

ただちに財布のひもをゆるめたのは言うまでも
ありません。

次回は、少し内容に踏み込んでみたいと思います。


本日の絵

日比谷公園ばら

昨年の5月、日比谷公園のバラを描きました。
今から思うと、これではどこのバラだかまったく
わからないことに今気付きました

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仙台路地事情(2)

午後3時まで、昼食をとらずに働いたので、帰宅後、
お店を求めて土曜の仙台繁華街へ足を踏み出しました。

同時に、先日紹介した路地事情にも気をつけてみました。

楽天のクライマックスシリーズ、第2戦を見る人だかりを
横目に見ながら、「サンモール1番町」、「ぷらんどーむ
1番町」「1番町買物公園」と続く、アーケード街を進むと、
ありました、ビルとビルの間をつなぐ路地っぽいところが。

よくみると、いわゆる路地というところは、○○横丁、
など名づけられた場所と、路地とはいえないのですが、
昔の市場(もしかしたら闇市?)で、今飲み屋やいろんな
ショップが並んでいる二つに分かれるようです。

路地

東1番丁

写真の場所ではないのですが、古そうで、これまで
避けていた、「いろは横丁」の中華料理屋さんに
入ってみました。

天丼(「半」ではない!)つきラーメン、定価500円。
安い!!。


本日の絵

本日はお休みします。

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仙台会席

秋とくればもちろん食欲。

スケッチという題材上、これまではあまり食べ物の話は、
してきませんでした。

線スケッチのモチーフに、料理スケッチのジャンルがあります。
師匠のN先生をはじめ、仲間のスケッチャーは、魅力的な
カフェスケッチ、レストランスケッチを精力的に描いています。

描き方ですが、出された料理を食べる前にスケッチする
のです。(あたりまえですが)
 
複雑で色とりどりの料理と、テーブルから店内、通りの先まで
描かれており、旅情とあいまって、なかなか雰囲気がよい
絵が多いのです。

ところで、あなたは?と聞かれれば、実は一度も描いたことは
ありません。

答えは簡単。

料理を目の前にしてのおあずけ状態はとても我慢できません。

話は変わって、今夜は青葉城城址の本丸会館で会席料理を
楽しみました。
会席料理

蟹の甲羅蒸し・美味餡かけ、仙台牛のロースト、牡蠣茶碗蒸し
とならんで、しめは「はらこめし」、デザートはずんだ餅と、
土地の料理づくしだったことはいうまでもありません。


本日の絵

ブリックスクエア

先月のブログでも紹介した、丸の内のブリックスクエアでの
スケッチです。「からまり」をモチーフとしている教室仲間が
いますが、ここでは「はりつけ」植物による円柱が気に入り、
描きました。コンドル設計の丸の内三菱1号館を背景にしました。

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久世光彦展

昨日に引き続き、世田谷区内の展覧会詣での話です。
場所は、世田谷文学館。
世田谷文学館

企画展のテーマを知らずに行ったところ、今回は、
久世光彦展が開催中でした。

久世光彦展

直接スケッチに関係しないテーマなので、詳しくは
紹介しませんが、併催されていた、森繁久弥の世田谷
フィルムフェスティバル(特集「名優・森繁久弥」)とともに、
久世と森繁との深い関係、久世が犬好きだったこと、
小田急線、千歳船橋駅からの「モリシゲ通り」
の由来など、通常では知ることができないエピソード
が公開されており、地元の人間として興味深い内容でした。

実は、世田谷文学館そのものが、魅力的な建物です。
内部は大理石づくめで実に豪華、また周辺も緑ゆたかな
散策地域で、スケッチポイントとしても魅力的です。

今回驚いたのは、池の前に建っていた、「ウテナ
化粧品」の創業者(?)の趣のある和風の家が
取り壊されていたことです。このことはmakiさんの
ブログで知っていたことだったのですが、やはり
まのあたりにすると、残念な気持ちが湧いてきます。
わずかに、重厚な門と黒塀が残っていたのが
救いでした。



本日の絵
本日はお休みします。

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オルセー」美術館展

すがすがしい秋晴れの下、世田谷美術館で昨日から開催した、
「オルセー美術館展 パリのアール・ヌーヴォーー19世紀末の
華麗な技と工芸ー」展に行ってきました。

乙せー美術館展

数々の工芸品、家具類の素晴らしさは言うまでもないのです
が、モーリス・ドニ、アンリ・リヴィエールのエッフェル塔三十六
景、アルホンス・ミュシャのサラ・ベルナールのポスターなどが
展示されていたのは予想外の収穫でした。

いずれも、ジャポニズにかかわる作品といえます。線描による
表現はどの作品にも共通します。
リヴィエールの版画は、三十六景すべてではなく、(販売中の
画集にはすべて掲載されています) 4枚しか展示されていま
せんでしたが、おそらく会期中入れ替わりになるのでしょう。

ミュシャのサラ・ベルナールのポスターは、その線描の太さと力
強さには驚きました。また、黒一色の線ではなく、同時にグレー
も微妙に重ねられていて、微妙な線の色合いを出しています。
これは間近に実物を見なければわからない線描の迫力です。

線スケッチを志す者は一度は見ておいて損はない作品だと思
いました。


本日の絵

高尾山

2年前の12月、高尾山での野外スケッチで描きました。けれでど、描きたいもの
(この場合は、もみじ)を描いた後、はじめは、上から下まで全体をいれたかった
旗が、途中で切れてしまいました。
このように、当初入れたかった下の景色がちょん切れてしまう現象は今でも
続いています。(「以前紹介した仙台七夕)どうしたらよいのか、模索を続けます。


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小笠原伯爵邸

先週、tokyo三十六景展の最終日、仕事の出先に
向かう途中で不思議な建物に出会いました。

大江戸線の若松河田駅を出て、国立国際医療センター
に向かうべく、横断歩道を渡ってなにげなく振り向くと、
地下鉄の出口の建物の背後に、なにやら見慣れた
シルエットが。

そう、白金台にある東京都庭園美術館の建物そっくりの
昭和初期建築シルエットです。
あわてて横断歩道を取って引き返し、そのシルエットに
近づきました。
小笠原伯爵邸

小笠原伯爵邸 とレストランの看板にあります。

裏に回ってみると、なにやらガウディの庭園ばりの
装飾一杯の壁と優雅な庭園の光景が開けました。

小笠原伯爵邸2

これを書く前に調べたのですが、昭和2年完成、もと小笠原
伯爵の邸宅だったところで、戦後都の所有で使われたあと、
放置され、2000年ごろ、現在のレストランを経営している
会社に貸与して復旧させた建物だそうです。

仕事を終えて、駅に引き返した時に十分観察してみました。
スペイン風のデコレーションが随所にみられ、スケッチの
対象物としては穴場です。
(これまで、あまり話題になった記憶がありません)

今後の楽しみに取っておくことにして、最終日の三十六景展
に向かいました。


本日の絵
お休みします。



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