「斎藤茂吉と 『楡家の人びと』展」  余禄

「斎藤茂吉と 『楡家の人びと』展」では、いろいろな関係
者が出てきます。

斎藤家の人々の中でも、気になったのは、茂吉の妻の斎
藤輝子です。

もう、数十年前に、なりますが、斎藤茂吉亡き後、高齢にも
かかわらず、世界の秘境を一人で旅する非常にユニークな
女性として知られていました。その一方で、茂吉や子供をな
いがしろにした、悪妻という評価もあったたように思います。

実際、輝子が茂吉と「ダンスホール事件」という醜聞をきっ
かけに別居したときには、北杜夫は7歳(うろ覚えの記憶で
は)、このような年齢の時に母がいなくなった影響を考える
と、北杜夫が後世、作家を志したこと、精神的に不安定にな
ったこともわかるような気がします。

茂吉が悪いのか、輝子が悪いのか、相性が悪かったのか。

当時の私は、自分のことで一杯で、茂吉と輝子との関係を、
それ以上知ろうとはしませんでしたが、今の年齢になって、
ようやく彼女の生きてきた姿を知りたいという気持ちが強く
なりました。

ただ、この展覧会では、その辺りの事情は紹介があるものの、
短い説明しかありません。

会場を出た、玄関ロビーの場所に、関連図書の販売が行わ
れていて、よくみると、北杜夫の娘、斎藤由香が書いた「猛
女とよばれた淑女 祖母・斎藤輝子の生き方」(新潮文庫)
が平積みにされていました。

まことに、タイミング良く販売されていたので、思わず、他の
本と一緒に購入しました。

いずれ、機会があれば、感想を記事にしてみたいと思います。

<本日の絵>
マルマン スケッチブック ヌードクロッキー
ヌードクロッキー009
モデルさんの動きはさらに速く、姿勢も大胆なポーズ
になってきました。こちらは、追うだけで精一杯です。

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小説「血脈」と「斎藤茂吉と 『楡家の人びと』展」(3) 

ようやく佐藤愛子の「血脈」を離れて、標題の展覧会の感想
に入ります。

基本は、斎藤茂吉生誕130年記念として、息子の北杜夫の、
「楡家の人びと」、評伝「茂吉四部作」をベースに構成されて
おり、読み応えのある内容になっています。(絵画展ではなく、
文学展ですから当然ですが)

知っている内容が多いのですが、思わぬ発見もありました。
特に、驚いたのは、斎藤茂吉の手帳の中に、線描スケッチが
数多くあったことです。

実は、最初の展示コーナーに、茂吉が十代の頃に描いた、和
凧の絵が掲げられていました。素人とは思えない出来で、茂吉
が絵の心得があったことを今回始めて知りました。

いずれにせよ、北杜夫の評伝「茂吉四部作」を読む必要がある
と思いました。

<本日の絵>
マルマン スケッチブック ヌードクロッキー
ヌードクロッキー008
描きはじめて2時間後ぐらいの時です。線がフラフラになっています。

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小説「血脈」と「斎藤茂吉と 『楡家の人びと』展」(2) 

「血脈」を読み進んで驚いたのは、佐藤一族と仙台とは、密接に
関係があったことです。

佐藤愛子の父、佐藤紅緑が河北新報の記者であり、河北新報
創業者の妻の妹、「はる」と結婚したとあります。後に、「はる」とは
離婚するのですが、出来の悪い(といっても、紅緑自身に原因があ
りますが)不良息子たちは、佐藤紅緑から勘当され、実家に戻った
母親と河北新報の創業者一族を頼っては迷惑をかける。

なかでも末の息子「久」は仙台で心中事件を起こして、死んでしま
う。(相手の女は生還する)

とまあ、こんな調子で、仙台の関係者にとっては、佐藤一族は疫
病神のような存在だったようですが、私にとっては、一挙に佐藤紅
緑が身近になりました。

仙台との関係とは別に、あえて私自身の接点でいえば、長男サトウ
ハチローの旧宅(文京区弥生)は、仙台に行く前に勤めていた職
場から目と鼻の先であったことです。旧宅を示す看板を見ながらラ
ンチを食べに行ったことを思いだしました。

さらに、佐藤愛子が紅緑と母シナと住んだ、西宮の鳴尾村は、私が
中学、高校と名古屋で過ごしていた時に、両親が住んだ場所であり、
私も休暇で帰省した折りに過ごした場所です。

さらに、エッセイで何度も出てくる、佐藤愛子の現在の住まいは、
世田谷区三軒茶屋太子堂。
これまた、私が関係している場所から、歩いて数分という偶然に、
勝手に興奮しています。

以上、「血脈」の話題はこれまでにして、「斎藤茂吉と 『楡家の人び
と』展」の話題に移りたいと思います。
(続く)

<本日の絵>
マルマン スケッチブック ヌードクロッキー
ヌードクロッキー007
モデルさんは、動きがなめらかになり、興にのってきた様子です。

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小説「血脈」と「斎藤茂吉と 『楡家の人びと』展」(1) 

先週土曜日、世田谷文学館で開催されている「斎藤茂吉と
『楡家の人びと』展に行ってきました。

          斎藤茂吉、北杜夫展

昨年亡くなったどくとるマンボウこと北杜夫の追悼を兼ねてい
ます。

この展覧会のことは、経堂の図書館で、「楡家の人びと」を借り
ようとしたところ、ことごとく借り出されていたので、何故だろう
と不思議に思って、ふと壁のポスターを見ると、標題の展覧会の
案内があり知りました(上の写真)。道理で、借り出されている
はずです。

この時期に「楡家の人びと」を借りようと思ったのは、佐藤愛子の
「血脈」を読んだからでした。同じく一族の運命を描いたこの大河
小説を思いだしたのです。その上、佐藤愛子の友人でもあった北
杜夫の作品ですから、すぐに連想しました。

最近、小説はほとんど読むことはないのですが、(9月に記事にし
た、「阪急電車」が本当に何年ぶりに読んだ小説です)最近、家族
に流れる血(DNA)ということを考えざるをえない経験をしたた
め、大部の小説にも関わらず読むことにしたのです。

読んだ感想を率直にいうと、暗澹たる気持ちにさせられる小説です。
佐藤家の人々、特に男子がことごとく滅亡していく様、関係する女
性達がなぜか皆、良人、愛人としてだめな佐藤家の男子を見捨てず、
たくましく生きていく様が描かれ、とても内容が濃い作品です。

若い時にはとてもこの小説を理解することはできなかったでしょう。

この小説が佐藤愛子の畢生の作品であると断定して間違いないと
思います。

さて、このブログのタイトル上、この記事では、小説の中身について
ではなく、読んで発見した仙台とのかかわりについて、紹介いたしま
す。
(続く)

<本日の絵>
マルマン スケッチブック ヌードクロッキー
ヌードクロッキー6
シリーズで紹介している、ヌードクロッキーです。この姿からさらに
動きの変化が速くなっていきます。

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原阿佐緒記念館を訪ねる(5)

略歴に述べたように、美人で歌の才能があり、異性関係で
世間を騒がし、波乱の生涯を送ったということのみが注目
されてしまいますが、それについては、本人の自伝や小説
に任せたいと思います。

ここでは、絵画に関係する話題に絞ります。

阿佐緒が、日本女子美術学校日本画科に入り、故郷で、美
術教師になったことは、すでに略歴で紹介しました。実際、
彼女が制作した日本画
が展示されていました。

そばに寄ってみると、かなり傷みのひどい状態でしたが、いか
にもまだ若い時に描いたと思わせる初々しい美人画です。

さらに、目を壁に転ずると、校章が飾られていました。奉職し
ていた宮城女学校の校章をデザインしていたのです。

そのほか、日記の表紙などのイラストや、自著の装丁に対す
る細かい指示など、彼女が美術を志していた片鱗が垣間見え
ます。

最終的には、本人は美術を捨て短歌と子育てに生きたのです
が、意外にも彼女の子供が有名な画家と接点をもつことに、
なります。

すなわち、画家だった庄子勇との間にできた保美は、映画俳
優として活躍。中川一政の娘と結婚します。

兄の原千秋は映画監督、甥に犬塚弘など、芸術家や俳優関
係が多いのは親の影響でしょうか。

最後に、一つ気になったことをお話して終わります。

今回の阿佐緒の生涯を見ていて、以前紹介した相馬黒光も単
身東京へ出ていることを思い出しました。
宮城出身ではなくても、与謝野晶子、笠井彦乃(竹久夢二の恋
人)、高村智恵子(光太郎妻)、岡本かの子など、裕福な家庭
に育った女性達がやはり、共通に大阪や東京の女学校や美術
学校に出ています。

その後の生涯を考えると、本人たちも多感な感性の持ち主だっ
たこともあるのでしょうが、芸術家たちが集まる環境に出たと
いうことも大きな要因でしょう。

冷静に考えると、多感な時期に、多感な人間が集まっている場
所に娘を出せば、波乱の多い人生になる可能性が高いことを親
は考えなかったのでしょうか?

<本日の絵>
本日の絵は休みます。

ただし、帰りに立ち寄った定禅寺通りのイルミネーションを
示します。朝と同様、大変な渋滞に巻きこまれ、改めて仙
台の交通事情を思い知らされた一日でした。

光のページェント 光のページェント2 光のページェント3
なお、昨年新調した60万個のLED電球は津波ですべて
流され、東京、大阪などからのドネーションや貸与で、開
催にこぎつけることができたそうです。

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