写真で描く海外スケッチ:はじめての試み

私たちが今描いている線スケッチ(ペンスケッチ)では、鉛筆な
ど下書きなしの現場描きスケッチを基本としています。(下書き
についてはあくまで原則です)

このスタイルは、国内、国外問わずで、そのためN先生が主催す
る海外スケッチでは、移動はほとんどなく、ほぼ1週間同じ街に
滞在し、ひたすらスケッチに専念するというスタイルです。

あくまで伝聞ですが、旅行会社のスケッチ旅行では、観光も兼ね
ていて、何か所も移動することが普通のようです。

さて、困るのは、家族旅行の海外でのスケッチです。
大体、一か所に長時間いると言うことは無理ですし、家族がスケ
ッチをしない場合は、ひたすら不満の種になるだけでしょう。

そこでどうするか、写真が有力な手段であることは間違いありま
せん。N先生も、写真を完全否定しているのではなく、自分の感
性で撮った写真を参考に描いてよいとも言われています。

ただ、あきらかに人間の眼とレンズの眼は違いますので、それを
どう整合させるかという大きな課題が立ちはだかっています。
(私が持っているのは、ありきたりのデジカメで、何でもかんで
も写るのはよいのですが、自分の目とはまったく異なる映像で、
しかも周辺は大きく歪みます)

昨年行った台北旅行では上のような問題意識のもとに、いくつか
写真を写しました。

手始めに、「台北のビジネス街の朝」の写真を参考にスケッチを
トライしてみました。(<本日の絵>を参照ください)

遠方の風景でなく、同じ距離を写した平面的な光景の写真なの
で、それほど違和感のある絵にはならなかったように思います。

<本日の絵>
ワットマン F6 台北のビジネス街の朝
台北の朝
日本でいえば、東京都心のビジネス街の出勤前、OL達が
出勤前に朝ごはんを買っている光景です。
私が泊まったビジネスホテルに隣接した道で、前夜には何
もなかったのに、朝散歩の時には屋台が立ち並んでいるの
にはびっくりしました。小籠包など中華圏特有のもので、しか
も台湾ピンクでしたので、帰国後のスケッチを意識して、スナ
ップ写真を撮ってみました。

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台北旅行(11) 台北の日常、公園の朝

樹木の生えた近代ビルをみつつ、日台交流協会の事務所が
あるビルを右に曲がると、遠目に公園が見えます。

近寄ってみると、十数名のお年寄りが太極拳の練習をしてい
ます。

日本では見慣れない南国の木々の下で舞っている姿は、スケ
ッチにふさわしい光景です。

描くかどうかわからないまま、写真だけはいろんな角度からと
っておくことにしました。

 台北の朝 台北の朝 台北の朝

この公園は、植物の名前もきちんとラベルが示され、ゴミもなく
とても整備されていて、気持ちのよい公園です。

以下に植物のラベルを紹介します。ラベルに花のイラストがある
のが親切で嬉しい。

台北の朝 台北の朝 台北の朝

台北の朝 台北の朝 台北の朝

さらに公園の目立つ所に、規則を示す看板がありました。しかし、
日本と違うのは、真ん中に誇らしげに役所の長(区長?)の名前
が書かれた標識板があることです。

根拠のない想像ですが、科挙の国の伝統で、お役所の力が強い
のではないでしょうか。

      台北の朝 台北の朝

また、掲示板に壁新聞らしきものが張ってありました。赤、青、黄
色に加え、あのピンク色の文字が踊っています。

やはり、ここにも台湾の人々の色の好みが現れているようです。

<本日の絵>
マイブック 小田急線人物スケッチ
小田急線人物スケッチ081
坊主頭のいかつい男性が、目の前に現れました。
電車内での横顔は久しぶりです。

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台北旅行(11) 台北の日常を求めて。朝

観光ツアーでは、毎日典型的な観光地とお土産屋さんを
訪れることになりなかなか日常の風景をゆっくり見るチャン
スがありません。

何とか、台北の日常を見たいと思っていたところ、3日目に
そのチャンスが訪れました。

その日は、午後四時の九份観光出発まで時間があります。
そこで、朝一番、ホテルの近辺を散歩することにしたのです。

このホテルの界隈は、オフィス街のようです。朝の通勤ラッ
シュが始まりかけていました。

朝のラッシュとは直接関係ないのですが、台北市内では、オ
ートバイが道路の歩道側に整然と並べて駐車されています。

興味深いことに、雑然と置かれている車両はなく、驚くべき
ことです。市民の意識が高いのか、それとも罰金が高いのか
よくわかりません。(後者の理由なのではないかと思います
が・・・)

台北の朝 台北の朝 台北の朝

ホテルの目の前の道に、昨晩は痕跡もなかった屋台が出現し
ています。

OLらしき女性達が列をなし、次々と朝食(?)を買っていきます。
スケッチ旅行ならば、確実に彼女たちをスケッチしたのですが、
時間がありません。ここは我慢です。

   台北の朝 台北の朝

さらに進むと、近代ビルの屋上に、樹木が生えているのを発見し
ました。屋上庭園にしては、かなり大木で、しかも外側までせり
出しています。日本ではおそらく禁止でしょう。
(台湾では台風が多いのに、なぜ許されているのでしょうか)

      台北の朝 台北の朝

<本日の絵>
マイブック 小田急線人物スケッチ
小田急線人物スケッチ080
こわもてのお兄さんの背中に魅せられて描いてみました。

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台北旅行(10) 台湾の美術事情(続き)

昨日の記事では、台湾の美が、清代の美の伝統を受け継ぐ
と述べましたが、一つ心に引っかかることがあります。

実は、現代建てられた記念建築も、当然赤、黄色、緑(青)の
定番の色にならって彩色されていると思っていました。

確かに、英霊を祀る忠烈祠、孫文を称える国父紀念館はその
よう建てられています。ところが、蒋介石を顕彰する中正紀念
堂は、白と青の基調からなっており、その伝統の配色から外れ
るのです。

中正紀念堂 中正紀念堂 中正紀念堂

また、内部の天井の模様も、非常に落ち着いた色からなってお
り、建てる上での思想がまるで違うことが分かります。

     中正紀念堂 中正紀念堂

中正紀念堂 中正紀念堂 中正紀念堂

         中正紀念堂

と、ここまで書いて、念のためにインターネットで調べたら、
公式ホームページの中に、建築デザインの由来が書いて
ありました。

この紀念堂は、宮殿形式よりはむしろ、陵墓に近く、また
白と青を基調とする色使いは、「自由、平等、博愛」を象
徴する青天白日と一致させたとあります。

なるほど、それで理解できました。

なお、蛇足ですが、いかめしい蒋介石の銅像の下の階は、
市民(おそらくですが)に開放した展覧会場になっており、
台湾の市民の絵画を鑑賞してきました。

     中正記念館 中正記念館

やはり、日本とは異なる感性の絵が多く、そのあたりに
ついては、次の課題といたします。
(台湾の美術事情の記事終わり)

<本日の絵>
muse croquis(white) 男性クロッキー
男性クロッキー056
もう始めて2時間、集中力も途切れてくるころです。

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台北旅行(9) 台湾の美術事情(続き)

中華の美というと、何故あの嵐のように激しく、ド派手な色彩
を思いだすのでしょうか。

それはおそらく、横浜や神戸の中華街の、門や廟の建築の装
飾とか、お店の看板と提灯や店内の飾りつけが、大体のところ
赤と黄色の氾濫だからと思います。現代の共産中国にしても赤
が氾濫しています。(もっとも、これはテレビ映像からですが)

ところが、台北故宮博物院で、中国の美の歴史を見渡すせば、
このド派手な色使いは、意外に新しく、清代からだということが
分かります。

今年の正月に見た、カスティリオーネの皇帝像の着衣や、絨毯
の絢爛豪華な色
、台北故宮博物院の清代の陶磁器の色使いを
見ると、白磁や青磁を生み出した宋や、それ以前の美術品から
は、同じ中国とは思えないほどの違いです。

台湾の中国本土による統治が、清代からであるためか、台北市
内にある、廟や寺は、色鮮やかな彫刻や絵画で飾られた、清の
スタイルです。今回、訪れた中では、龍山寺が一番気に入りま
した。

一般に、信仰が活きている、特に現世利益を願う(例えば、日本
でい言えば、巡礼の対象寺院)場合には、世俗の匂いが強い(こ
れはこれで宗教として正しいことなのですが)のに対し、龍山寺は、
世俗の匂いは強いものの、どこか洗練された美があるところです。

以下、ご紹介します。まずは、お定まりの屋根と装飾です。
オレンジ、朱、緑、黄、青の色の帯が埋め尽くす空間がどこまでも
続きます。

中華デザイン 中華デザイン 中華デザイン

中華デザイン 中華デザイン 中華デザイン

一方、良く見ると、壁には、過剰な色の洪水ではなく、レリーフ
や書画など、意外に渋いものが飾られています。

中華デザイン 中華デザイン 中華デザイン

中華デザイン 中華デザイン 中華デザイン

このあたり、余白を埋め尽くすくどさの中に、ほっとする部分もあり
ます。

最後に、お供えを置く台の文様。
伝統的な龍の文様ですが、赤の背景に、波の青、緑のグラデーシ
ョン、白の輪郭線、龍の頭の白が効果的です。

        中華デザイン 中華デザイン
(続く)

<本日の絵>
muse croquis(white) 男性クロッキー
男性クロッキー055
いよいよ終盤です。もうどうでもいいという線です。かなりアナーキーに
なってきました。

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